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大言小語 無理ない節電の夏に

 今年もまた節電の夏が近づいてきた。原発停止で、昨年は夏場のピーク電力カットが東日本一帯で取り組まれた。今夏は、西日本の電力不足が指摘されており、どちらもまた電力不足に悩まされる夏になりそうだ。

 ▼昨夏の首都圏の街中では、多くのエスカレーターが停止し、オフィスではエアコンを止めるか室温を高めに設定して急場をしのいだ。普段からエスカレーターに慣れ切ってしまった多くの人たちは、これから自分の足で登らざるを得ない長い階段を見上げて顔をゆがめたに違いない。まさに酷暑の夏だった。

 ▼日本ビルヂング協会連合会は今年もまた、会員のビル事業者に向けて節電対策への協力を要請した。昨年のそれと少し趣が変わってきたのは、節電一辺倒ではなく、ある程度の快適さは損なわないよう配慮するべきだとしている点だ。連合会によると、「オフィスの室温が27度を超えると不快感が急激に増す」とのことで、全体の節電目標の達成が見込める場合は政府が目標値とする室温28度にこだわらないで温度調整を図るべきだと主張する。

 ▼1年前は、誰もが初めての経験。言われるがまま、やみくもにピークカットに走った感があったが、今年は節電の方法や考え方も少しスマートになってきた表れだ。夏本番も間近、無理ない節電、省エネのアイデアがたくさん出てきてくれることに期待したいものである。