総合

大言小語 偽りか本物か

 CG(コンピューターグラフィックス)、完成予想図などの表示についての改正は、さもありなんだ。デザインソフトの能力向上などによるCGの精緻化で、パースなど物件の完成予想図の〝完成度〟は、ここ数年で飛躍的に上昇している。 

 ▼インターネットの普及による不動産情報サイトの充実、敷居の低さから多くの人がCG広告を見る機会が増えた。そして、広告から素晴らしい物件を「想像」するだろう。だが、それが実際と大きく異なっていたら||。

 ▼物件からの眺望などについては、実際にはない海など良好な住環境を演出させる広告が見られたため、従来から、「実際のものよりも優良であると誤認されるおそれのある表示」と「事実に相違する表示」が対象とされていたが、物件そのものの規模、形状、構造などについても同様に規制されることになった。偽りの「美しい広告」の後、〝現実〟を見せられた消費者の声が多かったということだろう。

 ▼「消費者は厳しく見がちなので、少しくらいよく見せてバーターだ」という業者の本音も聞かれる。しかし、グラフィックソフトなどを使うと、簡単に人を消したり、植栽を移動させたりできる。その便利さとある種の怖さを目の当たりにすると、規制の必要性を強く感じる。と同時に、偽りでない、本物を見極める目を養うことも改めて再認識させられる。