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大言小語 東京を芸術の都に

 3月24日午前から翌日の夕方にかけて、都内で「六本木アートナイト」が開催された。東京の文化を発信する一環として、都と東京都歴史文化財団が09年に始めたイベントで、今年3回目を数える。近年3つの美術館が開館し、その効果でギャラリーなども増えているという六本木。美術館めぐりや散策を楽しむ昼間の人通りが増え、かつての夜の街から美術の街へと、街の風景は一変したとの声も聞かれる。

 ▼一夜限りのイベントとはいえ夜を徹して繰り広げられる祭典だけに、音楽や映像、パフォーマンスなどもありカテゴリーを問わず多様なアートが訪れた人々を惹きつける。70万人を超える観衆が訪れ、今年も盛大のうちに幕を閉じた。

 ▼「アートは都市の磁力」と話すのは六本木ヒルズ・森美術館館長で同イベントの実行委員長である南條史生氏。「文化や芸術は繁栄している都市を表現する重要な要素」だそうだ。その東京の文化度はといえば世界4大都市で最下位。アジア主要6都市でもシンガポールの次点に甘んじている。都市間競争を勝ち抜くためには文化度を高めることも一手と言うわけだ。

 ▼文化や芸術を育てようという機運は六本木に限らず全国的にも広がりが見られる。ゆとりや癒しを求める心が人々の間に芽生え始めたことの表れだ。都市間競争も大事だが、まずは文化を育む歳月との戦いに勝たなければならない。