総合

誰を見ているのか

 今年は例年になく寒い気がする。拙宅周辺では、今年になって最低気温が氷点下となる日がほとんどで、寒さを実感している。毎年、そんな寒い時期に行われるのが「大学入試センター試験」。今年は大変なことになった。3400人以上が再試験の対象となる不祥事が起きたのだ。

 ▼問題が起きたのは、社会科の試験。地理歴史系(6科目)と公民系(4科目)に分かれており、今年から各系列から1つずつ選んだり、1系列から2科目選んで受験できるようになった。ところが、試験開始時に1系列の問題冊子しか配らない会場が続出した。

 ▼仕組みが複雑すぎる。2科目選ぶのでさえ組み合わせが多数あり、1科目解答の受験生もいれば、2科目受けても1科目しか採用されない人もいる。採点は後ではあるが、その前提となる問題が配られないのではお話にならない。全国で709も会場があり、その中で各試験官に対応を任せるには、事前に説明会を何度も開催し、準備を進めていないと無理だ。

 ▼入試センターの担当は「(試験官は)大学の先生だから大丈夫と思った」。試験官の方も、「何度も説明しなくても、分かっているから」と。プライドは高いがシミュレーション能力が低い――。原発事故でも見えた、国民の方を向かないエリートたち。そんな彼らが国の大事なポジションにいることに、小子は本当の『寒さ』を感じてしまう。