年金不安・相続税改正に対応 資産として再発見! マイホーム活用術

資産として再発見!(17) Q.16自宅を取壊して敷地を駐車場として貸す方法

・駐車場としてニーズがない場所なら諸費用が持ち出しになる
・自宅を取り壊すと固定資産税などが高くなる可能性がある
・家を取り壊して敷地を売却すると譲渡所得税が高くなることも

ご質問のように防犯上の心配から自宅の家屋を取り壊して、駐車場として管理することを考える人がいます。
この場合、その立地で貸駐車場のニーズがあるかどうかがまず問題になります。ニーズのないところで貸駐車場を行っても収入は期待できませんし、後で見るように税負担が増加することでかえってお金が出て行ってしまうことになるからです。近隣の状況などから収入が得られるかどうかは、しっかり検証することが大事です。

固定資産税等の問題

固定資産税は、そこに住んでいる場合には、その敷地は「住宅用地」として200㎡までは事実上税額が6分の1になる特例があります。都市計画税の特例は3分の1です。
しかし、住宅家屋を取り壊して更地になった土地は「住宅用地」にはなりません。つまりおよそ固定資産税が6倍、都市計画税が3倍になります。駐車場にする場合は、収入でこうした税負担を賄えるかどうかが重要になります。

譲渡所得税の問題

マイホームを売却して利益が出た場合、譲渡所得税の計算では3000万円を控除する特例が利用できます。
ところが、更地にした場合には、注意が必要です。というのも①その土地の売買契約が、家屋を取り壊した日から1年以内に締結され、なおかつ住まなくなった日から3年目の年の12月31日までに引き渡すこと、②家屋を取り壊してから譲渡契約を締結した日まで、その敷地を貸駐車場などその他の用に供していないことが3000万円控除の特例を適用する条件になるからです。
このため駐車場として利用する場合には、先々売却して3000万円控除を適用したほうがよいか、駐車場として保有し続けるほうがよいか、見極める必要があります。

相続税の問題

被相続人が住んでいた住宅を同居の相続人が相続すると、その敷地は居住用の宅地として小規模宅地の評価減の特例が適用できるため、相続税の課税対象額が8割引きの2割になります。駐車場の形で相続が開始すると、小規模宅地等の評価減の特例が利用できますが、この場合面積200㎡までについて50%減にとどまります。

税理士 本郷 尚 (ほんごう たかし) http://www.tactnet.com/

税理士法人タクトコンサルティング 代表社員
株式会社タクトコンサルティング  会長

昭和48年 税理士登録
昭和50年 本郷会計事務所開業
昭和58年 株式会社タクトコンサルティング設立
平成15年 税理士法人タクトコンサルティング設立
平成24年  株式会社タクトコンサルティング 代表取締役を退任し、会長に就任

不動産活用・相続・贈与・譲渡など資産税に特化したコンサルティングを展開。
資産税を軸足とした税理士として、執筆、講演に注力。


【主な著書】
「継ぐ」より「分ける」相続―45歳を過ぎたら“相続適齢期”(タクトコンサルティング)
心をつかめ!コンサルタント(住宅新報社)
ほんもののコンサルタントになる本―プロは勝ちより価値にこだわる (能力開発シリーズ)(住宅新報社)
がんばれ大家さん!(タクトコンサルティング)
生前相続―発想を変えれば人生が変わる(文芸社)
女の相続―Six stories(文芸社)
改訂とっておきの相続(タクトコンサルティング)
不動産M&A入門 (図解不動産業)(住宅新報社)