年金不安・相続税改正に対応 資産として再発見! マイホーム活用術

資産として再発見!マイホーム活用術(12)Q11.長期保有の自宅ほど譲渡税が安くなる

・保有期間は売却年の1月1 日で判断
・保有期間5年以下なら税率39%(所得税・住民税)
・保有期間 5年超なら税率20%(同上)
・保有期間10年超なら6,000万円以下の利益に税率14%(同上)
・保有期間10年超なら買換え特例も使える

売却益にかかる税金の特徴

住宅の売却益は他の所得と分離されて課税されます。適用される税率は、住宅の保有期間が長いほど、低くなる特徴があります。

保有期間は、住宅を売却した年の1月1日で判定します。保有期間の区分により、適用される税率が次表の通り異なります。

お尋ねの住宅は20年前に購入したものということですから、ここ10年以内に建替えなどが行われていなければ、土地、建物ともに保有期間は10年を超えることになるでしょう。

これらの税率は、住宅を売却した場合の特例である3,000万円控除を適用した後の残りの売却益に適用することになります。

仮に住宅の売却益が8,000万円ならば、3,000万円控除を差し引いた残額5,000万円には、所得税と住民税合わせて14%の税率が適用されることになります。

保有期間 所得税 住民税
5年以下 30% 9%
5年超 15% 5%
10年超(6,000万円以下の利益) 10% 4%

買換え特例の適用も

保有期間が10 年超で、なおかつその住宅に10年以上居住している場合には、「特定居住用財産の買換え〈交換〉の特例」が適用できます。

これは、売却した住宅の売却代金と同額以上の住宅に買換えた場合には、次に買換えた〈交換した〉住宅を売却するまで所得税・住民税の課税を先送りするという特例です。ただし適用できるのは、売却代金1.5億円までのものとされています。

売却代金より少ない金額で買換えた場合には、売却代金と買換えた金額の差額を収入金額とし、取得費と譲渡費用を売却代金に対する収入金額の割合で調整した必要経費を引いて、課税対象の金額を計算することになります。

手元に現金を残すこともできますが、買換えた住宅をまた売る状況になった場合には、先送りされて課税されなかった売却益に気をつける必要があるため、利用に当たっては専門家に相談しましょう。

税理士 本郷 尚 (ほんごう たかし) http://www.tactnet.com/

税理士法人タクトコンサルティング 代表社員
株式会社タクトコンサルティング  会長

昭和48年 税理士登録
昭和50年 本郷会計事務所開業
昭和58年 株式会社タクトコンサルティング設立
平成15年 税理士法人タクトコンサルティング設立
平成24年  株式会社タクトコンサルティング 代表取締役を退任し、会長に就任

不動産活用・相続・贈与・譲渡など資産税に特化したコンサルティングを展開。
資産税を軸足とした税理士として、執筆、講演に注力。


【主な著書】
「継ぐ」より「分ける」相続―45歳を過ぎたら“相続適齢期”(タクトコンサルティング)
心をつかめ!コンサルタント(住宅新報社)
ほんもののコンサルタントになる本―プロは勝ちより価値にこだわる (能力開発シリーズ)(住宅新報社)
がんばれ大家さん!(タクトコンサルティング)
生前相続―発想を変えれば人生が変わる(文芸社)
女の相続―Six stories(文芸社)
改訂とっておきの相続(タクトコンサルティング)
不動産M&A入門 (図解不動産業)(住宅新報社)