社説「住宅新報の提言」

国交省 証券化規模7.8兆円に Jリート2兆円超

 国土交通省は、06年度の不動産証券化の規模(年度中に証券化された不動産資産額)が前年度比13%増の7.8兆円になったと発表した。うち、Jリートの証券化規模が初めて2兆円を超えた。

 調査結果では、証券化の出口を迎えた案件が増加しており、リファイナンスや転売が増えていると分析している。

 スキーム別の実績では、信託受益権を有限会社・合同会社などを通じて証券化する方法が最も多かった。06年度では全体の54%を占めている。

 用途別実績では、オフィスが全体の約3割で最も多く、住宅や商業施設も増加してきている。商業施設・住宅・オフィスを組み合わせた複合施設も多く含まれている。

 開発中の物件を証券化・流動化することで調達した資金を当該物件の開発事業そのものに充当する開発型の証券化は、181件、7,000億円となり、着実に増加する傾向が見られる。

【今週の視点】
 不動産業界では、新たな不動産流通として「不動産の証券化」が台頭している。つまり、従来の実物不動産売買ではなく、その多くが信託受益権といったものに置き換え流通しようというものだ。
 将来的には一般的な証券会社の窓口で誰しもが購入でき、日々新たな不動産デリバティヴ(金融派生商品)が登場する日も遠くないかもしれない。
 今年10月から郵政民営化もスタートするが、銀行代理業が引き継がれる会社でもこれらの不動産証券が扱われることになれば、不動産=銀行・証券会社扱い=金融庁管轄と大きな時代の変革を向かえるかもしれない。