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酒場遺産 ▶32 東上野 鳥清 燗酒を傾け鶏なべをつつく

 上野駅を降り、昭和通りの東側エリアを4~5分ほど御徒町方面に下ると、老舗居酒屋や蕎麦屋、古い佃煮屋などが集まる東上野エリアに入る。外国人観光客や若い人たちで賑わうアメ横とは対照的に落ち着いた場所だ。「鳥清」は1958(昭和33)年創業。筆者と同い年65歳となる焼き鳥屋だ。「鳥鳥鳥の店」と書かれた看板が目立つ。仕入れたばかりの新鮮な鶏肉を紀州備長炭で丹念に焼いた焼鳥は絶品、ファンも多いという。1階は左手にカウンター8席、テーブル12席、2階に約20席。角の削れた白木のカウンターが柔らかで美しい。

 瓶ビール(アサヒプレミア)680円、生ビール600円、日本酒白鶴上撰(大)630円(癇が旨い)、地酒は八海山本醸造・南特別純米・七本槍純米・七田純米・墨之江純米・貴純米など、1合900円前後で揃えている。酎ハイなどあるが、数種のワインをボトルで出す。料理はそう多くないが、どれも美味い。正面の黒板にチョークで書いてあるメニューはお薦めなのだろう、やきとりセット4本970円、レバー・ひなかわ・ねぎま・正肉・つくね・砂肝・手羽先・ハツ焼きなどが250~300円、チーズ焼き、さび焼き(ささみ)、厚揚げ、ネギ・椎茸・ウズラ玉子などそろえる。

 すき焼き風の鳥なべや水炊きも人気で、筆者の友人も鳥なべに長く嵌っていた。鳥ご飯、鳥雑炊、鶏スープなど、まさに鳥三昧のメニューだ。17時~21時(土日・祝定休)。隅々まで清掃が行き届いた、凜とした美しい白木の空間。寒い冬の夜に、燗酒を傾けつつ鳥なべをつつくにはもってこいの酒場だ。(似内志朗)