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大言小語 テレワークは猛暑対策か

 「暑い」。今夏、この言葉をもう何千回見聞きしただろうか。総務省消防庁によると、5月1日から8月6日までの熱中症による救急搬送は5万5784人で、前年同期比6.3%増。「今年の夏は特に暑い」とは毎年聞く文句だが、どうやら今年は本当に例年以上の猛暑らしい。

 ▼そして、熱中症の発生場所のうち約1割は、工事現場などの「仕事場」。当然、建設施工などに携わる事業者は熱中症対策をしているだろうが、ぜひこれまで以上に気を配ってもらいたい。「塩飴は 舐めてもナメるな 熱中症」(中小建設業特別教育協会・安全標語より)である。無論、オフィスワーク中心の企業とて無関係ではない。満員電車などによる熱中症を避けるため、時差通勤制度を新設するケースもある。

 ▼ただ、ある経済誌の記事で「熱中症対策のためテレワーク推奨を」と提言していたが、これには疑問を抱く。基本的には高齢者が中心ながら、熱中症の発生場所は「住居」が約45%で最多。この電気代高騰の中、コワーキングスペース利用料や在宅勤務時の光熱費などを社員負担とする企業では、テレワークはむしろハイリスクともなりかねない。

 ▼コロナ禍の状況と連動して、テレワークも下火となってきた様子。生産性や管理の都合など、主に事業者側の思惑による動きのようだが、この猛暑も踏まえ、改めて従業員視点でそのニーズや効果などを検証してみてはどうか。