総合

大言小語 夏に遊ぶ

 30度を超える日が続く。朝からセミの大合唱。日中はエアコンの効いた部屋から離れるのに勇気がいるが、今年はマスク着用の要請もない。久々に味わう開放感に、自然と心が躍ってしまう。

 ▼早めの休暇をとり、グランピングを初体験した。テント設営や道具を用意しなくても気軽にキャンプができるアクティビティを指すが、体験の場は廃校を利用した宿泊施設だった。炎天下のスイカ割りや水鉄砲合戦をはじめ、夜は祭り屋台やカブトムシ採り、花火、星空観察と体験の連続。目の前の〝やってみたい〟という気持ちに従い、遊んで、食べて、疲れて寝るのみだ。目を輝かせ、はしゃぐ姿に子供や大人の違いはない。

 ▼計画を立てずに、がむしゃらに遊ぶ。何ともぜいたくなひとときではないか。日々の暮らしでは誰しも役割や責任を負うが、驚き、感心、楽しみなど取引相手へ何かを提供するには、自分自身のコンディション調整が重要だ。コミュニケーションを円滑に進める第一歩は、自分自身がシンプルにやりとりを楽しめる状態かどうか。遊び心で満ちているときこそ、実験的、発展的にものごとと向き合えるはずだ。

 ▼ジリジリと日焼けした肌は痛く、少年時代のように1日中遊び歩く自信もない。ただ、少なくとも数日の夏休み、思いのままに遊びたいと今年は切に思う。心身が身軽になれば、小さな喜びを見つけられる。夏が終わるころ、一皮むけた大人になりたい。