総合

大言小語 多様性と日本人のホンネ

 ジェンダーギャップが注目を浴びる。米格付け機関のムーディーズがOECD加盟国を対象に上級管理職か中間管理職に就いている女性の割合に注目して分析したところ、このギャップを解消することで世界の経済活動を約7%上昇させる可能性があるとみる。信用力の高い企業は女性役員の割合が高いとし、北米と欧州でその傾向が顕著だとする。

 ▼日本はどうか。大企業で徐々に対応し始めた。職場に託児所を設けたり、男性が育休を取得しやすい環境作りに注力する背景にはジェンダーギャップの解消に加え、子を育てながらキャリアも追える職場環境で優秀な人材の獲得につなげるリクルート戦略も重なる。

 ▼22年の出生数は約77万人と初めて80万人を割り込んだ。住宅・不動産業界は死活問題だ。数十年後を見据えると、分譲住宅と賃貸住宅にはダイレクトに影響が及ぶ。ワーカー減少はAIで補完も、オフィスの貸し床面積は減る可能性が高い。およそ33年ぶりの株高にも関わらず不動産会社の株価は勢いを欠く。将来性への不安を映し出す。

 ▼政府政策により出生率が上向くと仮定しても即効性は期待できない。内需拡大の即効力として移民政策は唯一の手立て。だが多くの日本人は訪日客はウェルカムであるが、移民は治安が悪化する、生活様式や宗教・文化が違う、などを挙げて及び腰だ。ダイバーシティ(多様性)は日本国民の心の開国がカギを握っている。