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大言小語 世間の狭さの問題点

 4月となり、新年度を迎えた。新たな環境で新生活を送る人も多いだろう。3月に何人かの知人から異動などの知らせを受けたが、そこで感じるのは世間の狭さだ。

 ▼異動の報告を受けたある人は、異動先にいる先輩が編集子の知り合いであり、かつ編集子の高校の後輩だった。あいさつの最後の雑談で判明した意外な事実だった。また、別の人のケースでは、職場近くのスタートアップ企業が参加した会合で再会した先輩が、そのスタートアップ企業の創業者で、縁あってその企業に転職することになった。

 ▼中学、高校、大学と最終的に進学した先での人間関係に、その後の人間関係も影響する。特に社会人は、所属する業種・業界の人間関係が大きいが、最終学歴である程度進路が限定される。大人になってから、思わぬ出会いで世間の狭さを感じる大きな要因なのだろう。

 ▼ただ、それは個人の行動範囲は意外と広くはないという事実もあるが、社会階層が固定化しているという構造的な問題もある。進学先が親の社会階層に依存するなど子供の頃から似たような社会階層の人と付き合う機会が増えている。多様性がうたわれる時代に、多様な人間関係が構築しにくい社会構造が存在するという皮肉だ。

 ▼社会構造の問題を打破するのは個人の行動力なのだろう。せっかくの新たな環境。世間を広げる契機と捉えて行動しては、どうだろうか。