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大言小語 足元の課題の再認識を

 23年はこの時期、住宅・不動産業界各団体による新年会等が相次いで開かれている。近年はコロナ禍で開催を見送る団体が多かったものの、感染対策の定着か、〝ウィズコロナ〟への変化か、「3年ぶりの開催」といった文言を随所で目にする。

 ▼23年の見通しでは、カーボンニュートラル(CN)をはじめ、環境対応の重要性について言及するケースも散見された。業界団体・企業の年頭所感でもCNやサステナビリティの重視を掲げるトップの声があり、本紙「景況感アンケート」(1月10日号掲載)でも成長期待分野の筆頭はCN。まさに時代の潮流と言ってよいだろう。

 ▼ただ、ESGのうちE(環境)への取り組みが進む一方で、S(社会)とG(ガバナンス)への注目度が低下しているようにも見え、若干の懸念を抱く。ダイバーシティや労働環境改善、あるいは法令順守や従業員等の権利保護といったトピックは、以前と比べ言及される頻度が減っているように思えるが、さて、課題は解消されたのだろうか。一例だが、同アンケートに回答を寄せてくれた企業トップのうち、女性の割合は1割にも満たない。

 ▼もちろん、業界として企業として、世界を見据えた大きな目標に挑む意識は素晴らしい。同時に、限定的な対象範囲だとしても、直接関わる人々の権利や幸福の希求もまた重要。天を仰ぎながら前に進むときも、踏みしめるのはやはり足元の地面なのだ。