総合

大言小語 見方を変える

 ウクライナ問題に端を発した世界経済への影響は資源価格の高騰に及び、家計や企業を圧迫している。ただ、ふと気になってしまう。この「ウクライナ問題」の表記方法だ。

 ▼例えば、今も悲劇を生んでいる「いじめ問題」で、極端な意見では、「いじめられるほうに問題がある」と詭弁を弄する場面がある。しかし問題は、「いじめる側」にあるのであり、「いじめられる側」ではない。

 ▼米国でもいまだ「黒人差別問題」として、また、日本でも在日外国人やホームレスなどに対する差別が根強く残っている。そこには、相手を知らない無知ゆえの恐怖心から、自身を守るために差別意識を生んでいる構図が浮かび上がる。

 ▼60年代に活躍した、ある黒人運動家は、「黒人差別問題」ではなく「白人差別問題」である、と強調していた。問題は白人のほうが抱えているからだ。単に皮膚の色だけで差別を続けている白人側にこそ、問題がある。

 ▼目を転ずると不動産業界でも、「空き家問題」が注目されている。これは、放置した物件所有者の一方的な問題なのか。私有財産を勝手には侵せないが、放置をしないような仕組みや環境づくりが果たして、十分だったのだろうか。

 ▼税制や法制度、〝情報の非対称性〟〝新築神話〟の背景が対応を遅らす原因でなかったのか。物事には裏と表、原因と結果がある。結果だけを問題視せずに原因を考え、見方を変えれば問題の姿は違って見えてくる。