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トヨタホーム 今年度ZEH比率75%に 営業利益が過去最高見通し

 トヨタホームは9月15日、愛知県刈谷市の自社展示場「アトリスパーク刈谷」で事業概況説明会を開催した。ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)戸建て75%供給占有達成や、トヨタ自動車が推進する電気自動車(EV)車載蓄電技術と連動した高給電建物といった環境配慮型住宅の普及などを目指す。

 後藤裕司社長は、「家電や住宅設備などのIoT化や、モビリティのCASE・MaaSなどが融合した次世代型スマート・ハウス・タウンづくりのため、トヨタ自動車とパナソニック(現パナソニックホールディングス)、三井物産で設立した合弁会社プライム・ライフ・テクノロジーズグループとの連携強化の取り組みとして集中購買による原価低減や商材の相互活用、相互出向による人材育成、共同分譲などで、住宅業界のトップを目指す」と述べた。

 23年3月期の総販売戸数は、コロナ禍前の19年3月期の4259戸を上回る4290戸とマンションを含む分譲事業の拡販が売り上げを押し上げ、連結売上高は1760億円、営業利益は過去最高益を更新する見通しだ。

 世界の需要急拡大を背景にした鋼材・木材などの資源価格の上昇に、ロシア・ウクライナ情勢による木材供給不足、円安による輸入部材費上昇などが加わり、戸建て住宅1棟当たり約250万円のコスト高要因になっているが、その分を販売価格に転嫁せずに原価低減でカバーし、販売前線での急激なインフレ抑制に取り組んでいる。

新築の高付加価値化や既存顧客向け流通強化

 新築住宅、街づくり、ストック、海外の4事業領域に注力する。新築住宅は、(1)主力の鉄骨に加え、消費者ニーズに応える木質販売の拡大、(2)全館空調システム「スマート・エアーズ」やZEH供給率75%(22年度計画)、(3)家と車の連携強化で防災・減災を目指した環境配慮型「クルマde給電」、(4)春日井市の家づくりを体感できる同社生産工場「TQ FACTORY」の活用、(5)9月に販売する企画型戸建て新商品「SINCE LQ」=写真㊤=の投入――など高付加価値提案を行う。

 同社分譲マンションブランド「アネシア」の展開や、循環型ビジネスへの転換・良質なストックの形成を目指して同社既存顧客を最重点ターゲットにしたリフォーム・中古住宅流通事業強化に取り組むなど、街づくり・ストック事業を推し進める。