6月28日、新日本建物の新社長として近藤学氏が就任した。〝変化〟を目指す同社の方針も踏まえ、所感や抱負、足元の状況や今後の方針などについて近藤新社長に話を聞いた。(聞き手・佐藤順真)
――社長就任を受けての所感は。
「引き受けたからには、集中して全力で取り組むという気持ちが第一で、株主への貢献、還元もしっかりと行っていきたい。また、直前まで用地仕入れの実務に携わっていたため、その現場の感覚を生かして『社員に近しい社長』をモットーに働きやすい環境を整えていく。同時に、会社全体をしっかりと監督しなければならない立場でもあり、双方の視点が重要だと考えている」
――就任後の取り組みや今後の方針などは。
「当社の企業理念は『変わること、変わらないこと。』だが、今はよりよい方向へ会社を〝変えること〟に力を入れていきたい。その一環として、全社を対象に〝会社に望むこと〟についてのアイデア募集を行った。事業や体制の改善について社員に考えてもらう機会でもあったが、(3月末現在で社員数44人のところ)約300件と多くの意見が集まった。特にコミュニケーションの促進・向上に関する意見が多かったため、交流のためのリフレッシュスペースを新たに設けるなど具体的な動きとして反映しているが、今後も日々の業務で気付いたことには対応していきたい」
「そのほかにも、DXやSDGsといった新たな分野への対応も挙げられており、取り組むべき課題と認識している。同時に、こうした新たな分野については若い社員を信頼して任せることも重要で、必要に応じて権限も委譲していく。まずは『出した意見がしっかりと受け入れられる』という意識の土台をつくっていきたい」
――具体的な事業やビジョンについて。
「現在は投資用マンションの開発・販売が主力事業で年間25件程度を手掛けており、オフィスは年間1~2件、また物流施設にも力を入れているところ。これらの事業のためには、まずはよい土地を仕入れることが第一だ。土地価格が高騰する環境ながら、良質な土地を取得して、柔軟な発想で最適な物件企画を具体化していくこと。この〝仕入れ力〟と〝企画力〟が我々の強みであり、当社らしさでもある。土地購入の際のスピード感や誠実さで土地オーナーや仲介会社、金融機関から選ばれる会社となり、そしてニーズにしっかり応えたものづくりで入居者に選ばれる物件をつくる。そうした〝ファン〟を今後も増やしていくことを目指す」
「足元の状況としては、販売や投資の計上タイミングの関係もあり、直近の第1四半期決算で数字的にはマイナスとなったが、事業そのものの推移は順調。通期決算は計画通りかそれ以上を見込む。自分の社長就任後もこれまでにないペースで仕入れができており、よいサイクルで事業が進んでいる。同時に、先々を見据えた新たな取り組みも大切。大きな流れとしてのDXやSDGsはもちろん、個別分野としては、空き家や空きテナントといった〝空き〟物件に注目しており、スペース活用の分野での事業も模索している。更に、現在は物件をほとんど保有していないため、保有によるストックビジネスも検討課題だ」
「こうした新たな事業と体制の改革を並行して進め、3年後に迎える50周年の際には、社内外から(よい方向へ)〝変わった〟と思ってもらえるよう、各分野ともしっかりと取り組んでいきたい」