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~畑中学 取引実践ポイント~ 不動産ビジネス塾 売買仲介 初級編(6) 境界侵犯など敷地の形状・範囲を把握「公図の読み方」再建築の可能性も判断

 前回の登記事項証明書に続き、今回は公図の読み方となる。公図では主に再建築の可能性を判断するために、(1)敷地の形状と範囲、(2)前面道路との接道関係、(3)前面道路の地番を把握していくのだが、その前に分類と作成年月日を見ておきたい。分類の記載が地図であれば、土地の面積や距離、形状、範囲等が正確であり、信頼性が高い。測量図としても利用できる。分譲地や再開発が行われた街ではこの地図であることが多い。

 一方で、分類の記載が地図に準ずる図面となっているのならあまり正確ではなく、おおまかな形状や範囲、周辺の土地との位置関係しかあてにならない。公図の多くはこの地図に準ずる図面である。これらを念頭に公図を読んでいくことになる。

 (1)敷地の形状と範囲が現状と公図で変わりないかを確認する。現状が長方形なら公図でもほぼそうなっている。もし異なるのなら何らかの理由があるので、その理由を明らかにしていくようにする。筆者の経験では大半は隣地への、もしくは隣地からの境界侵犯だ。そのときは隣地所有者と絡めて権利関係を是正することになる。

 (2)前面道路との接道関係では敷地と道路が接しているのかを見ていく。ただし、接していない無接道地の場合でも囲繞地通行権や通行承諾により建築が可能なこともあるので、単純に再建築不可と判断をせず特定行政庁(建築基準法を判断する公共団体)の建築指導課に確認を取っていこう。

 (3)前面道路に地番が振られている場合、その地番の登記事項証明書を取得して所有者と地目を確認する。市区町村役場などの公共団体が所有者なら公道となり、個人なら多くは私道となる。公道であり地目が公衆用道路ならほぼ建築基準法上の道路であると当たりをつけられ、また通行や埋設管工事の承諾も得られやすいので再建築に際しても問題が少ない。反対に、公道でも地目が公衆用道路以外であったり、行き止まりなら、昔は河川など道路以外であった場合は、建築基準法以外であることが多い。

 一方で、私道なら建築指導課で建築基準法上の道路かを確認する。目安として近隣の道路沿いに新しい建築が建っていれば建築基準法上の道路の可能性が高いと当たりをつけられるが、そうでなければ該当外の可能性を疑ってみる。また、再建築の際には私道所有者から通行と埋設管工事の承諾が必要になるため、それらの承諾が得られるかを確認する。所有者から承諾が通れない場合、建物の利用や維持管理に難が出てしまう。

 以上、公図の読み方を述べた。不動産を正しく把握するために参考にして欲しい。

【プロフィール】

 はたなか・おさむ=不動産コンサルタント/武蔵野不動産相談室(株) 代表取締役。

 2008年より相続や債務に絡んだ不動産コンサルタントとして活動している。全宅連のキャリアパーソン講座、神奈川宅建ビジネススクール、宅建登録実務講習の講師などを務めた。著書には約8万部のロングセラーとなった『動産の基本を学ぶ』(かんき出版)、『家を売る人買う人の手続きが分かる本』(同)、『不動産業界のしくみとビジネスがこれ1冊でしっかりわかる教科書』(技術評論社)など7冊。テキストでは『全宅連キャリアパーソン講座テキスト』(建築資料研究社)など。