総合

大言小語 ハナミズキ

 薄桃色の花をつけたハナミズキが青空に映えている。別名、アメリカヤマボウシ。北米原産で、日本へは1912年にワシントンDCに贈ったサクラの返礼として贈られた。新緑だけでなく、紅葉、冬木立も美しく、四季の変化を感じやすいことから一般家庭の庭木、街路樹としても広く親しまれている。

 ▼普段、わずかな緑にしか触れることのできない都会人にとって、ゴールデン・ウィークは思いっきり自然と戯れる貴重な機会である。コロナ前には及ばないものの、今年は昨年を上回る人出が予想されるとか。自然を求める人間の心はずっと昔から変わらないし、これからも変わらないだろう。

 ▼〝ウィズコロナ〟といわれる生活がどういうものになるのかは今一つはっきりしないが、外に出掛けることが人間の本能的欲求だとすれば、多少の不安との共存は避けられない。DXとかデジタルとかAIとか、世の中が大きく変化していく面だけが連日のように取り上げられているが、人間にとって昔から変わらないものとは何かを考えることも大事なことではないか。変わらないものがあればこその人間である。

 ▼人間が自然の美しさに目を奪われ、感動するのは同じ自然の一部である人間からみても信じがたいほどの悠揚(ゆうよう)たるものがそこにあるからである。自分にないものへの敬愛、尊崇こそが人間に平和をもたらすのである。