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彼方の空 住宅評論家 本多信博 ◇45 創刊75年・読者の声 (中) 業界紙の使命 地域と暮らしに目を向ける

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 渋沢テクノ建設(群馬県前橋市)が前橋市天川町で地主から定借で土地を借り受け建設した店舗付き戸建て賃貸住宅(総戸数5戸)。今年3月末に竣工したが、早くも4戸に申し込みが入っているという(4月16日現在)。5つのどんな店舗がオープンして地域を活性化してくれるのか楽しみだ。完成見学会は5月に行われる予定

 新聞は常に読者と共になければならない。国民全体を読者とする一般紙はそれでいいが、業界紙の読者は業界関係者となる。つまり一般紙に比べて対象範囲が狭く、密着度も高い。故に「読者と共にある」そのあり方が難しい。その意味では、一般紙の政治記者と政界との関係に似ていて、親しくなり過ぎると本分を忘れがちになる。

   ◇     ◇

 定借伝道師として知られる速水英雄氏(全国定期借地借家協会組織渉外理事、NPO法人沖縄定借機構理事長)は「最近の紙媒体マスコミはSNSの情報発信に押され、本来の使命を忘れている」と手厳しい。

 「マスコミの使命は正しい情報を正確に発信することが第一。SNSは関心の高さを競うためにフェイクニュースが散見されるが、今の新聞も本分を忘れたスポンサー目線の記事が多いのではと感じる。不動産業界紙を見ても、スポンサー企業(特に大手企業)に配慮した記事が多過ぎる。もっと中小事業者や家主(地主)、ユーザー目線での記事を期待したい」

 記者は、ニュース・リリースが多い大手や中堅企業は取材しやすいが、中小不動産業者や家主などの情報は足で集めるしかない。それに、「そもそもネタになるようなニュースなどめったにないのでは」という先入観もある。

 定借事業拡大のため全国を駆け回る速水氏は、「そこがそもそもの間違い」と指摘する。「近年は東京などの大都市よりも地方のほうが独自の発想で事業を展開する会社が増えている。そうした地方に埋もれている〝原石〟を見つけて情報発信するのが業界紙の大事な役割ではないか」。

 全国に会員を擁する(一社)日本シェアハウス協会の山本久雄代表理事もこう話す。

 「住宅新報の読者は国の推進事業・法令改定などの情報も参考にしているが、全国各地で独自の工夫をして事業に取り組んでいる会社の情報も知りたいと思っている。そこで提案だが、そのための連載枠を設け、ユニークな発想で成功しているビジネスを紹介してほしい」

 また、山本氏はこうも語る。「増え続ける空き家の半数が賃貸住宅。その大半は旧耐震だから地震で建物が全半壊した場合、多数の死者や避難者を出す。耐震化が急務だがオーナーは多額の費用が掛かるため及び腰だ。そこで発想を転換して単なる耐震化では家賃収入は変わらないが、同時にシェアハウス化すれば貸室が増え家賃収入も増えるので投資額を回収しやすい。こうした具体的な取り組み事例や新たな発想やアイデアが紹介されていれば家主や管理会社にとっても役立つ新聞になる」

ユーザー目線

 速水氏も山本氏も間違いなく不動産事業者側の人間だが、更に共通するのはいかなる場合でも「ユーザー目線」を忘れないことだ。

 速水氏は言う。「業界紙記者はある意味、業者よりも詳しい知識や情報を持っていなければユーザー側の役に立つ記事は書けない。そのためにも、自分の足でナマの情報を集める努力が必要だ。我田引水かもしれないが、定借は地主・事業者・ユーザー・地域の〝四方良し〟が最大の特徴だ。だからこそ普及・拡大させていく意義がある」

 一方、山本氏はシェアハウス事業について「ユーザー目線で考えてこそ、その応用範囲が広がる」と話す。特に近年力を入れているのが、高齢者が若い世代と共に暮らす多世代共生型シェアハウス。

 「例えば一人で大型戸建て住宅に住んでいる高齢者が使っていない部屋を若い世代に貸し出せば、シェアハウスが〝令和の下宿〟となって地域のコミュニティを活性化する力になる」と語る。

 新型コロナが加速させた「住まい方改革」は地域のあり方をも変えようとしている。不動産業が本質的に地域に根差したものであるなら、不動産業界紙もまた地域と人々の暮らしに目を向けなければならない。企業規模あるいは業態にかかわらず企業の本気度がどこにあるのかを探るのも、不動産業界紙の使命と考える。

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