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JR東、5800億円を投入 「高輪ゲートウェイシティ(仮称)」25年3月開業 文化イノベでまちづくり

 東日本旅客鉄道(JR東日本)は4月21日、「高輪ゲートウェイシティ(仮称)」のまちづくりを公表した。同社最大のまちづくりで、シンボルとなる文化創造棟は建築家の隈研吾氏が外観を設計する。「文化のイノベーション」を標榜し、文化創造棟のプログラムを企画・運営する運営準備組織を設立。地域全体の魅力・価値向上を図る。25年3月に、MICEなど国際交流拠点となるツインタワーや高輪ゲートウェイ駅周辺エリアが開業し、文化創造棟を含む住宅棟などのエリアについては25年度中の開業を予定する。JR東日本の深澤祐二社長は、「いろいろなネットワークをここから生み出せるのが、この開発の強み」と語った。

 今回の再開発は「品川開発プロジェクト」の第Ⅰ期として推進する。開発エリアは、ツインタワーで構成される複合棟Ⅰ(オフィス、ホテル、商業、コンベンション、カンファレンス、子育て支援施設、ビジネス支援施設等)、複合棟Ⅱ(オフィス、商業、フィットネス、クリニック、子育て支援施設、エネルギーセンター等)、文化創造棟、住宅棟(住宅、インターナショナルスクール、商業等)で構成される。総事業費は5800億円を予定。

 開発コンセプトは「Global Gateway」を掲げ、分散型の新たな働き方、暮らし方をつくるために「100年先の心豊かなくらしのための実験場」と位置付け、「未来の暮らしづくりへの挑戦」(深澤社長)とした。そのために、(1)まちづくりの実験・実証を通したビジネス・文化創造、(2)地域・パートナーと育む未来の街、(3)分散化社会におけるネットワークハブ――の3点を核としたまちづくりを実施する。

産学連携など実証実験も

 具体的には、まちづくりの実験・実証を通したビジネス・文化創造として、グループのビジネス支援からスタートアップなどと連携し、駅やまちのビジネス創造拠点化を進める。特に、ヘルスケアやメディカルについて高度なネットワークを生かした遠隔医療や産学連携施策、グリーンスローモビリティやフードドローン配送などモビリティ分野での実証実験などを積極的に実施する。

 地域・パートナーと育む未来の街については、港区など行政や周辺企業と共に、周辺住民の価値向上につながる取り組みを進めていく。近隣学生とのコミュニティ活動や防災インフラ整備などを行う。

 分散化社会におけるネットワークハブは、日本国内や海外をつなぎ、ヒト、モノ、価値が循環するネットワークを構築する。海外大学や海外VCなどとの連携に加え、JR東日本グループの特徴を生かしたワーケーションや新幹線を活用したマルシェなどを行っている。これらは「ビジョンを共有した様々なパートナーと進めていくもの」(深澤社長)としており、国際ホテルグループのマリオット・インターナショナルや、海外からのビジネスパーソンが家族を呼べる環境を構築するために、国際バカロレアを導入した東京インターナショナルスクールと連携する。

 複合棟Ⅰに開設するMICEに関しては、MICE誘致の実績を持つ八芳園とプリンスホテルと提携し、駅や広場と一体的に開催するエリアMICEなどを予定している。国際会議の誘致は、(株)コングレと連携して行う。

 文化創造棟は5階建ての低層建築物で、屋上庭園や約100畳の畳空間、大空間展示スペース、150年前の高輪築堤が残る公園に面したエントランスなどを整備する。