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住宅・不動産業の過去と未来を追い求め 中古流通促進を後押し 常に業界と共に

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宅建士に名称変更する宅建業法改正は与野党を問わず、全会一致で成立した 管理不全土地のイメージ。こうした所有者不明土地は全国で多く、その適切な管理・利活用が求められている 広島県音戸の古民家のリノベーション工事の模様。完成し、民泊施設となっているが、コロナ禍によるインバウンドの低迷で苦労が絶えない(22年3月まで本紙に連載していた「目指せ、2拠点生活! 」より) 長期優良住宅の認定基準(国土交通省資料より) 元は商店であったことがうかがえる空き家。傷みが激しく、周りの住民に不安を与えてしまう
 1948(昭和23)年の創刊から75年、住宅新報は住宅・不動産の専門紙として、その時代時代の今と将来を追い、新たな展開への一助となるべく読者の皆様と共に編集されてきた。戦後間もないまだ貧しい時代から、高度経済成長期、そして不動産バブルに沸いた時代と崩壊し、なかなか立ち直れない時代。様々な局面で多くの方の羅針盤となれるよう奮闘してきたが、いさめられた時もあれば、お叱りをいただくこともあった。それも、すべて糧として住宅新報は作られていった。ここでは、創刊からの75年の歴史とここ最近の重要な法改正を取り上げ、今一度過去を振り返る。もしかすると、ポストコロナあるいはウィズコロナにおける住宅・不動産業の将来も見えてくるかもしれない。

債権法120年ぶり改正 実務に大きく影響

 2017年5月26日、民法の一部を改正する法律が成立した。民法のうち債権関係の規定は、1896年に制定された後、約120年間ほとんど改正がされていなかった。法務省によるとこの改正は、「民法のうち債権関係の規定について、取引社会を支える最も基本的な法的基礎である契約に関する規定を中心に、社会・経済の変化への対応を図るための見直しを行うとともに、民法を国民一般に分かりやすいものとする観点から実務で通用している基本的なルールを適切に明文化することとしたもの」だという。

 従来当然のこととされていた契約自由の原則を明文化し、契約をする意思が持てない場合、すなわち意思能力がない場合に契約が無効となることも明示した。また、国民に分かりやすい民法との観点から、従来分かりにくかった危険負担の規定を整理変更し、貸金根保証の規定を根保証一般に広げた。賃貸借契約での敷金規定の新設や原状回復の範囲についての明示などもその観点からおかれたものといえる。

 売買については、売主の担保責任をめぐる規律の抜本的見直しが最重要だ。従前は、目的物に隠れた瑕疵がある場合に、売主に担保責任を認める瑕疵担保責任等が規定されていたが、その効果や債務不履行との関係につき諸説あった。そこで、売主の担保責任として規定していたものを債務不履行責任に統合した。

 賃貸借も、賃貸人による妨害排除請求権、賃貸人の修繕権、原状回復、敷金の定義等、改正が多数行われた。従前行われてきた賃貸借契約における連帯保証のような、極度額を定めない個人(根)保証が禁じられた。実務への影響や家賃保証をめぐる情勢に大きく影響を与えることになる。

(本紙20年1月21日号「改正民法で何が変わる」伊豆正義弁護士を再編)

成年年齢引き下げも

 また、22年4月1日から、民法上の成年年齢が20歳から18歳に引き下げられた。こちらも120年ぶりの改正となる。公職選挙法の選挙権年齢が18歳と定められるなど、国政上の重要な事項の判断に関して、18~19歳を大人として扱う政策が進められてきたこと、世界的にも成年年齢を18歳とするのが主流であることから、今回の改正は行われた。

 このほか、23年4月1日からは、所有者不明土地問題(別稿)に絡み、物権の相隣関係(竹木の草や根の処理などで有名)において、隣地使用権の見直しや枝の切除に関する規定が改正される。また、共有制度の見直し、所有者不明土地と関連する財産管理制度の見直しが行われる。そして、相続も同じく、新しい相続財産管理制度などが規定される。民法や刑法など基幹の法律が最近よく改正される。今は時代の転換期なのだ。

宅建士が誕生

 14年6月18日、宅建業法の一部改正案が参議院全会一致で成立。宅地建物取引主任者が宅地建物取引士に名称変更した。

 名称変更の理由は、全国宅地建物取引業協会連合会や全日本不動産協会といった不動産関連団体の要望が挙げられる。

 13年10月29日号の本紙を見ると、「東京都宅地建物取引業協会と東京不動産政治連盟は、宅地建物取引主任者から『宅地建物取引士』への名称変更の実現に向け、大規模な署名活動を展開する。10月20日から12月20日までの2カ月間で、東京全体で15万人分の署名を獲得する方針だ」とある。業界の熱望の表れといえる。

 もう一つの大きな理由が、中古住宅流通の活性化だ。中古住宅の取引では、ホームインスペクション(建物検査)、リフォーム、鑑定評価など多様なサービスを消費者は望んでいる。こうした関連分野の事業者間連携に伴う不動産流通システムの改革が進んでいるが、その分、宅建業者と取引主任者の業務が増大し、その責任の重さも増している。そこで、取引主任者を宅建士とすることでそれに見合う資格とすることを明確化した。

 改正により、加えられたものが、「宅建士の業務処理の原則」「信用失墜行為の禁止」「知識及び能力の維持向上」。当時の国土交通省土地・建設産業局長の毛利信二局長(元国土交通事務次官・現住宅金融支援機構理事長)は、「単なる名称変更ではない。こうした規定により宅建士自身の資質が上がる。また、宅建士以外の従業員の教育の規定も設けたことで業界のボトムアップにつながる」と述べている。

 改正法が施行されて7年が経った。不動産DXの推進などにより、ますます取引の業務の幅は広がっている。宅建士の一層の活躍が望まれている。

特措法で不明地活用へ

 18年6月6日に成立し、19年6月1日に全面施行された「所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法」(不明地利用特措法)。所有者が不明のまま利用されていない土地を、民間が公益目的で利用できるようにする「地域福利増進事業」の創設が柱の特措法だ。

 同特措法は、人口減少や高齢化による土地利用ニーズの低下などにより、全国的に所有者不明土地(不明地)が増加しているという社会的課題への対応を図るもの。16年度地籍調査によると、不動産登記上で所有者の所在が確認できない土地が全体の約20%あり、探索しても最終的に所有者の所在が不明な「最狭義の所有者不明土地」は0.41%となっていた。

 更にその割合は増加が見込まれており、公共事業や地域の活力維持への悪影響も深刻化していくおそれがある。そこで、複数の観点から不明地の問題への対策を盛り込んだ同特措法が制定されたという経緯だ。

 目玉である同事業により、地域住民などの福祉や利便の増進につながる公益的な事業については、都道府県知事が10年間を上限に土地の利用権を設定できることとなった。また併せて、公共事業における収用手続きも合理化・円滑化している。

 加えて、土地所有者の探索や整理に向けた新制度を設けたほか、不明地の適切な管理を促すための特例措置も創設。不明地の発生や周辺環境への悪影響を抑制するための方策も取り入れた。

 その後、同事業の利用状況や改善点についての議論を踏まえ、同事業の利用期間上限を20年に延長することなどを定めた同特措法の改正案が、現在開会中の第208回通常国会に提出された。3月31日に衆議院で全会一致により可決され、参議院での審議が進められている状況だ。

賃貸住宅管理業法 20年6月成立

 20年6月12日に成立した「賃貸住宅管理業法」は、サブリース規制と登録制度の二本柱からなる賃貸管理〝標準化〟時代を象徴する新法だ。賃貸住宅が生活基盤として重要性を増し、管理業者の介在が増加する中、オーナーあるいは入居者とのトラブルが多発し、社会問題化したことなどが同法制定の背景にある。同年12月15日に「サブリース業者と所有者との間の賃貸借契約の適正化にかかる措置」が施行。翌21年6月15日には、賃貸管理業者の登録制度が創設され、全面施行となった。

 特に後者の登録制度では、委託を受けて賃貸住宅管理業務を行う事業者で管理戸数200戸以上の場合、国土交通大臣の登録が義務付けられる。業務管理者の配置、管理受託契約締結前の重要事項説明などが必要となる。

 国土交通省によれば、今年3月28日時点の登録事業者(法人・個人)は4475者。他方、管理戸数200戸以上でありながら未登録の事業者は、旧告示制度とそれ以外の対象者を合わせて1000者強と推測する。

 同省では今年6月15日の移行期間満了を前に、4月1日付で業界団体に対して登録申請促進のための通知文を発出し、無登録で管理業務を行った場合の罰則や宅建業の営業停止等のリスクについて警告。竹内重貴不動産・建設経済局参事官は「管理業の健全な発展は、事業者がルールに従って取り組むことが前提。未登録の事業者には法令の趣旨を理解し、適切にビジネスに励んでほしい」と早期の登録申請を呼び掛ける。

 法に沿ったルールの遵守がオーナーとのトラブルの未然防止等につながることから、国では200戸未満の事業者の登録も推奨する。

住宅宿泊事業法 ヤミ民泊増加受け

 17年6月9日、住宅を宿泊施設として利用・営業する「民泊」を解禁した「住宅宿泊事業法」(民泊法)が成立。18年6月15日に施行された。当時大幅に増加していた訪日外国人(インバウンド)観光客向けの宿泊施設の充足を図ると共に、併せて急増していた〝ヤミ民泊〟への対策として制定された新法だ。

 我が国では10年ほど前から20年のコロナ禍発生まで、ビザの緩和やアジア諸国の経済成長などを背景に、インバウンド観光客が急増。当時世界的に民泊の提供・利用が拡大していたこともあり、国内でも低廉で旅先の土地の生活に近い民泊へのニーズが高まっていた。

 しかし、宿泊サービス事業はそれまで原則として旅館業法に基づく宿泊施設でしか認められていなかった。そのため、インバウンド観光客からの人気が高いエリアを中心に、違法営業のいわゆる〝ヤミ民泊〟が横行し社会問題化した。そこで新たに民泊法を制定し、住宅でも宿泊事業を可能にするための枠組みを定めて民泊の健全化を図った。

 同時に、あくまでも本来は住宅であることや、旅館業法に基づく宿泊施設との住み分けなどを踏まえ、営業可能日数は年間180日までとする規制を設けた。法人による事業化にはハードルとなったものの、住宅物件活用の一環として制度利用が進んだ。

 しかし20年3月頃から、中国・武漢で発生した新型コロナウイルス感染症が国内でもまん延。民泊法に基づく「届出住宅数」(事業届出件数から事業廃止件数を引いたもの)は、20年4月の2万1385件をピークに減少に転じることとなった。現在も新規登録は見られるものの、22年3月14日時点での「届出住宅数」は1万8196件と減少が続いている。

 物件オーナーや企業は様子見を続けている模様だが、22年に入り、大手不動産会社が民泊法の活用を前提とした共同住宅を開発するなど、新たな取り組みも散見される(9面に関連記事)。新法制定とコロナ下を経て民泊活用の検討が進み、ウィズ/ポストコロナの新たな民泊のあり方が徐々に姿を見せ始めたとも言えるかもしれない。

長期優良住宅法を制定

 現在、新築住宅の4軒に1軒ほどの割合で供給されている「長期優良住宅」は09年に施行された「長期優良住宅の普及の促進に関する法律」(長期優良住宅法)に基づく制度である。我が国の場合、取り壊された住宅の平均築年数はアメリカが55年、イギリスの77年に対し、日本は30年と短い。住宅ローンを返済し終える頃には住宅の価値はほぼゼロになってしまうというのが実態だ。日本では住宅への投資が資産として蓄積されず消費されてしまっているともいわれている。

 そこで法律では、耐震性などの基本性能はもちろん、長期にわたり良好な状態で使用するための措置が講じられた住宅を長期優良住宅と定義し、その建築及び維持保全の計画を作成し、所管行政庁に申請すれば長期優良住宅としての認定が受けられるようにした。認定された住宅については税制、金融上の優遇措置が受けられる。新築についての認定制度は09年6月4日から、既存住宅を長期優良住宅に増築・改築する場合の認定制度は16年4月1日から開始された。

 その後、22年2月には重要な改正法が施行された。主な内容としては、(1)区分所有住宅については区分所有者がそれぞれ認定を受ける仕組みから管理組合が一括して認定を受ける仕組みに変更、(2)認定手続きの合理化として、住宅性能評価を行う民間機関が住宅性能評価と長期優良住宅の基準の確認を併せて実施可能とする、(3)頻発する豪雨災害等への対応として、認定基準に自然災害による被害の発生防止又は軽減への配慮を追加し、災害の危険性が特に高い区域については認定を行わないことにした。

 なお、21年度末時点での認定実績(累計)は以下の通り。

 新築一戸建て121万1258戸。共同住宅2万2769戸。既存住宅の増築・改築は一戸建て1171戸。共同住宅47戸。

不特法が一部改正

 13年には不動産特定共同事業法(不特法)の一部改正が行われ、倒産隔離型の事業スキームが可能となった。不特事業とは、投資家からの出資をもとに収益不動産を取得・運用し、その収益を投資家に分配する事業。ただ、事業を担う不特事業者の他の事業の影響も受けるため、事業者の万一の倒産を恐れる投資家からの資金調達が進まないケースが多々あった。

 そこで13年の改正では、倒産隔離型の不特事業を可能にするため、一定の要件を満たす特定目的会社(SPC)が同事業を実施できるようにした。SPCが資金を調達し、不特事業者に業務委託する仕組みだ。

 なお、同法はその後、17年、19年にも改正された。例えば、地方の中小規模事業者でも参入しやすくするため、資本金や出資金などの要件を緩和した「小規模不特事業」が創設された。また、インターネットを使って資金を集めるクラウドファンディングに対応した環境整備、SPCを活用した事業における事業参加者範囲の拡大――なども行われた。

空き家対策特措法

 長期間にわたり誰にも使われず、管理もされていない空き家が増加の一途をたどっていることを背景に、15年に「空き家対策の推進に関する特別措置法」が施行された。2月に一部が施行され、5月に全面施行となった。

 これは、適切な管理が行われていない空き家は、老朽化による倒壊や放火などによる火災・周辺への延焼、不審者の侵入やごみ放置による害虫発生、良好な景観破壊など、地域住民の生活環境に深刻な影響を及ぼしており、対策が必要と判断されたため。それまでにも自治体が独自に条例などで対策を講じてきたが、老朽空き家とはいえ私的財産のため、強制除却などの実行にはなかなか踏みきれないのが実情だった。

「特定空き家」を規定

 そこで同法では、「国は空き家等に関する施策の基本指針策定」「市町村はその指針に即した空き家等対策計画を策定・協議会の設置」「市町村長は法律で規定する限度において空き家等への立ち入り調査が可能」「市町村長は空き家等の所有者等を把握するために固定資産税情報の内部利用が可能」のほか、「特定空き家に対する措置」も設けられた。

 これは一定条件を満たした「特定空き家」に対しては、除却や修繕、立木竹伐採等の措置の助言または指導、勧告、命令が可能というもの。更に要件が明確化された行政代執行の方法により強制執行が可能とされた。

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