コロナ後の暮らし担う「地域交通」 垣根越えた〝共創型〟へ 月内とりまとめ、政策の再設計視野に

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3月14日に開かれたオープンセッションの様子(東京都千代田区の官民共創スタジオで)
 アフターコロナ時代の「地域交通」の方向性を考える国の研究会(事務局・国土交通省総合政策局地域交通課)が、3月末に中間とりまとめを行う。目指すのは、感染症を契機に人々の暮らし環境や価値観の変化が進む中、持続可能な地域交通の役割と価値を再考し、地域の多様な関係者が当事者となる〝共創型交通〟への転換だ。官民や分野にとらわれない共創の視点から政策の再デザインの手法を探る。

 同研究会は、自宅からの最初の移動である「ファーストワンマイル」を発想の起点に、多様な主体の共創を実践することで、暮らしのニーズに基づく持続可能な交通モデルを研究するために設立された。「交通、地域づくりの専門家など多様なメンバーで21年11月にスタート。地域の人の暮らしの充実という観点から検討する」(倉石誠司同省総合政策局地域交通課長)との通り、国交省や内閣府、厚生労働省、環境省などの関係部局がオブザーバーに加わっている点も特徴だ。

 3月14日には、東京都内で同研究会設置の狙いやこれまでの検討過程を共有するオープンセッションが開かれた。新型コロナを契機にした交通事業者の経営悪化やニューノーマルにおける利用者のライフスタイルの変化を踏まえ、同研究会では、より持続可能性を高める手法について、(1)コミュニティ(暮らし目線の交通の実現)、(2)ガバナンス(実効性のある交通マネジメント)、(3)ファイナンス(新しい手法も見据えた持続性の確保)という切り口で整理。例えば、「コミュニティ」では、様々な産業の地元企業が共同で移動サービスを企画、誘客を促進している香川県三豊市の事例などを紹介。現地で参画する研究会メンバーの取り組みや視点も共有された。

 同研究会では、コロナ後の地域交通を再設計するため、共創型交通への転換を提示する。具体的には、交通事業者が能動的に地域の各産業のプレーヤーと領域を超えて地域課題の解決に向かうことや、地域コミュニティの構成員自身が交通サービスの価値を最大化する機運を醸成することなど。適切な役割分担による官民連携(PPP)や官官民連携(P2PP)などにより、利用者目線で利便性の高い交通のベストミックスを実現していく。新年度には交通を地域の暮らしと一体で捉え、行政や金融機関と取り組むモデルプロジェクトの募集も予定しているという。

関心の高まり好機に

 3月末の取りまとめに向けて、研究会メンバーでプロジェクトデザイナーの古田秘馬氏は「公共サービスは単体では成立しない。交通、エネルギー、教育も含めた共有資本、ベーシック・インフラとして仕組み化されている地域が今後は選ばれていく」とした上で、「地域全体のトランスフォーメーションに対し、誰が最終的にイニシアティブを取るのか。まずは市民が覚悟を持って立ち上がるべきではないか」と問題提起。アーサー・ディ・リトル・ジャパン(株)パートナーの三ツ谷翔太氏は「ESG投資や、ダイナミックなローカル事業への着眼という2点から投資意欲が高まっている」と述べ、地域交通に対する事業者の関心度の高まりを指摘した。

 ファシリテーターを務めた神田佑亮呉工業高等専門学校環境都市工学分野教授は、「地域交通のビジョンの再定義を継続的に行っていくと共に、アフターコロナという地域のあり方の変革期に議論を盛り上げ、交通事業の内外および業種を超えた交わりを促進できるかが大事」と指摘。更に「交通をインフラと捉え、多様な主体が参画するベーシック・インフラという仕組みを整え、いかに使いこなしていけるかが重要」と総括し、今後の検討へ意欲を示した。

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