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大言小語 春が訪れる

 17年前のきょう3月22日は、建築家・丹下健三氏の命日。近代建築の父ともいわれるル・コルビジェの影響を受けつつ、日本と西洋の建築を融合させた多くの作品を手掛け、国内外で高い評価を受けた。優れた人材も育て、磯崎新氏、槇文彦氏、谷口吉生氏などの数々の建築家を輩出させている。

 ▼その一人、建築家の黒川紀章氏が設計した「中銀カプセルタワービル」(東京・銀座)は、解体に伴い、当該の建物を〝デジタル空間〟に保存する取り組みが始まっている。最新のデジタル技術を活用して、国民にとって大切な財産ともいえる往年の姿を残し、次代の建築家などに伝えていく。時代の移り変わりは感慨深い。

 ▼ル・コルビジェの写真集を見ると、モノクロ写真の影響なのか、建物の「陰影」で生まれる〝造形美〟に心を奪われる人も少なくない。一般の構造物であっても世間では、建築や橋、道路、下水道までもが、遺構の持つその美しさに魅了され、「芸術作品」のように趣味の写真や動画に残す人たちもいる。

 ▼実は、詩人・劇作家のゲーテも同じ命日。「若きウェルテルの悩み」「ファウスト」は有名だが、異色な著書「色彩論」も残した。何度読んでも難解だが、瞬間が作り出す光と闇、を論じているのは分かる。さて、昨日は春分の日。建造物や、草木の色づく自然の散策に出ても、気持ちの良い気候に。太陽や月の光が映し出す美しい姿を感じてみるのも良さそう。