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主要住宅各社 21年12月度受注 戸建て注文に回復感 単価は引き続き上昇基調

 主要住宅各社の21年12月度受注速報が出そろった(表参照)。苦戦気味だった戸建て注文では一部に回復感が見られる。政府与党が昨年12月10日に税制改正大綱をとりまとめ、住宅ローン控除延長、各種支援策が打ち出された影響がある。様子見の顧客を後押ししたと思われる。戸建て注文の単価はZEH、太陽光発電システム(PV)、全館空調システムなどの訴求が奏功し、上昇基調は続く。

 各社の21年12月度受注の特徴的な点を見てみると、積水ハウスの「戸建住宅」は20年同月(単月)比1%減。好調だった20年同月と同水準であり、大空間リビングや次世代室内環境システムでは高い採用率を維持する。「賃貸住宅(RC造除く)」は同3%減だが、ZEH化、3、4階建てが引き続きけん引。「分譲住宅事業」は同21%増。資料請求、来場共に堅調で、宅地を購入した後に建物を建てる売り建てが好調だ。

 大和ハウス工業の「戸建住宅」は同49%減、「分譲住宅」は同67%減、「集合住宅」は同44%減。同社は昨年10月から「戸建住宅」と「集合住宅」の未着工案件で契約関係を確認。昨年11月に引き続き、顧客サイドの経済環境や職場環境の変化により、建築計画の中止や先送りが一部見られた。また、昨年12月は建設業法に基づく営業停止処分を受けたことを踏まえ、建築関係の営業を自粛した影響もある。一方、「マンション」は都内や札幌を中心に販売が好調で、同44%増となった。

 住友林業の「戸建注文住宅」は同1%増。ローン減税制度の延長など支援策の公表が後押し。コロナ前の19年同月(単月)比では34%増。ZEH比率は70%台後半と単月受注では過去最高。1棟当たり単価も高水準で推移している。「賃貸住宅」は同11%増。法人開拓ルートに注力しており、受注増につながった。

 旭化成ホームズの「請負住宅(戸建てと集合)」は同13%減。戸建てと集合いずれもマイナス。マイナス幅は戸建てのほうが大きく、展示場来場者の減少が響いた。また、住宅ローン控除延長の公表は昨年12月上旬であり、同月の受注への影響は少なかった。

 ミサワホームの「注文住宅」は同6%増。棟数は横ばいだが、PV、ZEH提案が奏功し、1棟当たり単価が上昇した。「建売分譲住宅」は在庫不足により同56%減。「賃貸住宅」は3階建ての受注がけん引し同29%増となった。

 三井ホームの「専用住宅(戸建て)」は同11%減。夏場以降のモデルハウス来場者の減少が響いた。昨年10月以降の資材高騰の影響に加え、住宅ローン控除公表の影響も少なかった。ZEH提案やテレワークなどのニューノーマル対応の訴求は奏功し、1棟当たり単価は20年同月を上回っている。

 パナソニックホームズの「戸建住宅」は同27%増。住宅ローン控除延長の公表が後押し。3階建て以上がけん引。ZEH、全館空調システムの提案も奏功し、単価アップにつながっている。「集合住宅」は同55%増と好調。「分譲住宅」は分譲住宅のローン減税適用の契約期限は昨年11月末だったこともあり、同48%減となった。

 一方、棟数ベースで公表している積水化学工業の「住宅受注(戸建てと集合)」は同5%増。戸建て、集合いずれもプラス。PV、蓄電池の搭載率は高く、単月の受注において蓄電池の搭載率は過去最高を記録した。