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2022年「寅」不動産市場  投資マネー変調するか (上)〝本社手放す〟動き なお続く 金利動向、資源高、外的要因が懸念材料 コロナ禍も投資機会は拡大へ

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外資勢の意欲は旺盛とされ、東京で再び存在感を見せるか
 欧米など諸外国は、新型コロナウイルスの爆発的な感染が収まらずにアフターコロナからウィズコロナへの意識が強まっている。日本国内の新規感染者数を見ると、足元では低い水準を保っているものの、新たな変異株の市中感染が確認され、感染収束に楽観論はない。投資環境としては引き続きコロナに左右される1年となりそうだ。「虎千里を走る」との株式市場の格言があるが、不動産投資マネーはどう変調するのか。寅年の2022年を観測する。

 不動産サービス大手のジョーンズラングラサール(JLL)によれば、直近21年1~9月期の国内への不動産投資額は前年同期比9%減の3兆1473億円となっている。インバウンド投資額は5714億円と20年通期の1兆5548億円を大幅に下回っている。海外投資家が市場をけん引した20年と比べると見劣りし、外国資本の流入が細っている感が否めない。

 投資比率で見ると、海外勢が全体に占める割合は18%と20年通年の34%から大幅に減った。ただ、JLL日本リサーチ事業部シニアディレクターの大東雄人氏は、「21年は海外投資家の比率が下がっているが、意欲が衰えているわけではない。取得意欲は継続して強い」と指摘する。

市場の透明性カギ

 もっとも、日本が海外に開かれた不動産市場にならないと海外投資家に見限られかねない。「中国・上海では海外投資家比率が過半になってきた。課題は透明性だ」と大東氏は警鐘を鳴らす。同社の「20年版グローバル不動産透明度インデックス」では日本が世界で16位と先進国から後れを取っており、シンガポールと香港の後塵(じん)を拝し、台湾、韓国、上海、タイなどアジア新興国が猛追する。日本は投資適格物件が豊富なだけに外資を呼び込む環境整備による伸び代は大きい。

21年にビル需要確認

 国内の不動産取引に目を転じると、コロナ禍で業績が大幅に悪化した企業を中心に自社のバランスシートを軽くするため保有不動産を手放す案件も増えている。

 売買市場は活発。21年の特徴は資金繰りで物件を売却する動きによりオフィスの売買が盛り返したことだ。音楽大手のエイベックスや旅行大手のHIS、大手広告代理店の電通が相次ぎ本社ビルを売却。いずれも新型コロナの直撃を受けた業種だ。売却後にリースバックで引き続きオフィスを構えたり、別のビルを賃借するなどで対応する。エイベックスは22年3月に「住友不動産麻布十番ビル」に本社を移転する。こうした企業動向は22年もなお続くとの見方が少なくない。事業会社が継続的に不動産を売却することで投資機会は増加する。 大型の取引に限らず、決算期を控えているだけに3月に向けて中小規模のビル売買が活発化することも予想され、取引価格の高止まりを受けて投資利回りも低下しそうだ。

 新型コロナ当初は、不動産市場の地合いが悪化するとの見方があったが、その懸念は和らいだ。在宅勤務が普及したことを受けて不要論まで台頭したが、その懸念も一時よりも後退している。

 米国公認会計士でSMBC日興証券グローバル・インベストメント・バンキング部門格付アドバイザリー・チーム長の福士昭文氏は、「日本の低金利政策は今後も続く。良好な資金調達環境などを背景に企業の信用リスクは安定的に推移するものと考える。コロナ感染拡大は空室率・賃料の両面でトレンド転換の契機となった。とはいえ、21年は相応のビル需要も確認できた1年だった。賃料が底入れするまでもうしばらく時間を要すると思われるが空室率上昇と賃料下落が一方的に進むことは考えにくい」と話す。

 モルガン・スタンレーMUFG証券の竹村淳郎アナリストは、「新規供給されるオフィス面積の半分ほどに相当する空室が竣工の前の年に市場に出回る前提に立っている。これを調整してもなお、22年も需要面積の成長が見込める」と分析している。賃貸市場は底堅く推移する見通しだ。

 22年は新規ビル供給が限定的であることから市況が総崩れする懸念もない。空室率と賃料の方向感としては、それぞれ上げ止まり、下げ止まりが見込まれている。

日銀総裁発言に要注意

 では死角はないのか。複数の市場関係者の声を総合すると、オフィスの場合は在宅勤務の拡大を背景に解約が集中したり、コロナ変異株が猛威を振るう、インフレ期待が後退する、などでネガティブに振れる可能性があると見る。外的要因として中国の不動産開発大手の信用不安を端緒に世界的なリスクに発展しないかにも注目が集まっている。エネルギー価格の高騰でインフレ懸念が増大していることで不動産大手は神経をとがらせる。開発事業のコストアップを招きかねないためだ。

 インフレ率が高止まりし、緩和縮小ペースの加速を模索する米国を横目に日本でもそろり利上げを意識する。日銀に金利上昇の姿勢は見られないが、利上げの端緒をつかむために市場関係者は日銀の金融政策決定会合後の黒田東彦総裁の発言に機敏に反応する。「総裁のコメントに変化が見られたら要注意。利上げのサインではないか。今年は黒田ウオッチが日課となりそうだ」との声も聞かれるが日本が利上げに踏み切る可能性は低く、経済成長を模索する国内外の投資マネーが不動産市場で存在感を見せそうだ。

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