売買仲介

創業55年の日本不動産(浅草)  次世代にバトンタッチ 足元から着実に

 観光地として有名な東京・台東区浅草に本社を構える日本不動産。創業55年を迎える老舗の不動産会社だ。このほど、創業者である山下欽司氏が会長に就き、息子の山下泰弘氏に社長をバトンタッチした。山下新社長は、「まずは足元の当たり前のことから着実に進めていきたい。地域の人から頼りにされる会社でありたい」と話す。

 山下欽司氏が浅草で開業したのが昭和40年代初め。6畳一間の事務所からのスタートだった。「浅草は保守的なところがある。そのため新参者が顔を出しても、なかなか受け入れてもらえない。自分が埼玉から移ってきたときも、当初3年間は仕事の依頼がほとんどなかった」(欽司氏)と言う。町会活動などを通して顔なじみとなり、交流が増えるにつれて仕事の依頼も増加。数年前には浅草駅近くに「浅草オレンジ通り店」をオープンし、今では25人のスタッフを抱える会社となった。

 新社長の泰弘氏は現在47歳。17年前に入社し、仲介や管理部門で経験を積んできた。「顧客には多様なタイプ、志向の人がいる。行き違いや説明不足など、何かが足りないとトラブルに発展してしまう」。それぞれ求めていることは異なるので、それを的確に捉える力が重要になるという。

 浅草は事業用物件が多いエリア。事務所や飲食店、子育て支援施設など最近は、扱う物件の中に用途変更を伴うケースが増えてきた。用途に応じて必要な手続きや関連法規は異なる。「何かあったときにオーナーが困らないよう、建築に関する知識を持つことが必要だと感じている」(泰弘氏)。こうした建築関連の知識を広げると共に、相続対策など地域の人が抱える不動産にまつわる悩みに対応できるような会社を目指す。そのために、弁護士や税理士、司法書士など専門家とタッグを組んで取り組む方針だ。