住まい・暮らし・文化

コロナ下の注文住宅動向 ペット仕様の受注好調

 コロナ下でペットの飼育が増えている。在宅の長時間化・長期化でペットを飼い始める人が増えたと推察される。メーカー各社はペット仕様プランの採用率の集計を行っていないケースが多いが、大和ハウス工業、ヒノキヤグループはその動向をカウント。注文住宅におけるプランに、ペット需要が反映されている。(古賀和之)

 ペットフード協会の調査によると、飼い始めて1年以内の新規の飼育頭数は20年に犬が前年比14%増、猫が同16%増を示した。17年~19年は前年比で一桁の増減で推移しているため、ここ数年では顕著な伸長だ。コロナ下における外出抑制の中で、ペットの飼育が増えていると推察される。

 注文住宅のペット対応では、犬や猫の動線への配慮、滑りにくいフローリングといったプラン提案が用意されている。

 大和ハウス工業の注文住宅では暮らし方提案として「ペット(猫・犬)と暮らす家」がある。猫仕様ではキャットウォーク、猫用の階段(造作棚)、ペットドアといったプランを用意。犬仕様ではドッグラン、トイレスペースなどを用意する。各仕様でいずれかのプランを採用した「ペットと暮らす家」の受注は21年度上期が前年同期と比べ1.4倍に増加。コロナ下のペット需要を反映する。

 一方、ヒノキヤグループの子会社である桧家住宅と桧家住宅東海(21年1月に桧家住宅と合併)は20年6月から、ペット専用空間「わんにゃんルーム」の販売を開始した。この専用空間は中2階のオリジナルプラン「コミュニケーションブリッジ」の下の空間を活用。それまで収納に使われるケースが多かった空間をペット仕様とした。爪による傷に強い床材、脱臭のためにナノイー発生機を設置するなど、ペット仕様として初の商品だったが、20年6月~12月の受注は4棟。今年に入り、「毎月1棟は必ず受注があり、当社としては思っていた以上の反響」(ヒノキヤグループ)で、1月~9月の受注は計30棟だった。

 受注した営業担当者からは「マンション暮らしで犬を1匹飼っていらしたお客様は、カタログを見て『コミュニケーションブリッジ』とその下にある『わんにゃんルーム』のどちらも気に入っていただいた」という意見が上がり、将来的なペット飼育を踏まえて関心を持つ検討者もいるという。ペット専用空間を紹介する展示場は発売時点の13カ所から、現在は18カ所に拡大している。

心構えを周知

 ペットを飼うことで、生活には豊かさや潤いが出る。その一方で、最後まで面倒を見ることは重要だ。大和ハウスでは、カタログやウェブサイトでペットを迎え入れる際の心構えを周知。営業担当者も口頭で顧客にしっかりと伝える方針だ。