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三菱地所 社会貢献起点に新事業 個人とNPOなどをマッチング 基盤サービスやアプリ開発

 三菱地所は、社会課題の解決を起点とした新事業創出に取り組む。同社は社会貢献プラットフォームサービス「カンパ!」を10月8日から開始。同サービスは、社会貢献に興味・関心がある個人と、社会課題の解決を行うNGOやNPO、企業など「ソーシャルセクター」とをマッチングする。同社では「地域で活動をするNPOなどの支援をすることが、長期的に当社グループの目指す地域貢献・街づくり活性化に寄与する」と考え、こうした取り組みがエリアの魅力向上や活性化につながるとする。

 「カンパ!」の第1弾プロジェクトは、子供の貧困の問題に取り組むNPO法人Learning for Allの寄付型クラウドファンディングを開始。開始から10日間で約30万円の寄付が集まっている状況で、当事者であるNPO法人が今後、本格的にプロモーションをかけていく。三菱地所によれば、プロジェクトサイトには、「同じ子を持つ親として、同じように挑戦して、できる何かを見つけてほしい。とても共感した」などの応援の声が多数寄せられているという。

 プロジェクトの第2弾、第3弾については、12月のオープンに向けて企画が進行中。第1弾と同様にNPOの寄付募集をスポーツ関連団体にサポートしてもらうことや、テーマも子供の貧困などを検討している。同サービスは、クラウドファンディングや寄付機能だけでなく、今後はボランティアなどの人材募集機能をはじめとした機能を付加する予定だ。

 同社が自らプラットフォーム構築に携わった背景には、コロナ禍で寄付型のクラウドファンディングが増えるなど、〝困っている人の力になりたい〟と言った貢献ニーズが高まっている状況がある。社会課題解決の取り組みは、地域に密着して行われる傾向にあり、NPOなどのプレーヤーは資金面や人材面において取り組みの継続性に課題を抱えているケースが多い。

 貢献ニーズが増える中で、同社が有している日本全国のネットワークやテナントリレーションを活用し、プロジェクトサイドとユーザー(寄付者・ボランティア行為者)サイドの双方への効率的なアプローチを行うことができると考え、プラットフォームを構築した。

 社会課題解決に対して行動を起こしたい個人にフォーカスした同サービスと類似の取り組みとして、丸の内エリア内で行われる個人のSDGsアクションに「ACT5メンバーポイント」を付与するアプリがある。20年度から開始した、丸の内エリアを起点に様々なSDGs活動を推進する「大丸有SDGs ACT5」の一環。

 マイボトルの持参、古くなった衣類の回収、地産地消マルシェでの購買などで獲得したポイントを、サステナビリティに配慮した商品との交換のほかSDGs貢献団体や「エコ結び基金」などへの寄付などに利用できる仕様となっている。