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インタビュー AI価格査定 コラビット(東京都港区) CEO・浅海剛氏 AI査定が流通活性化

今、自宅を売ったら、いくらになるのだろう――。そうした疑問に応えたいとコラビットは、全国の戸建て住宅やマンションの価格を無料で瞬時にAI(人工知能)が自動査定し、そのまま売却依頼ができるサービス『HowMa』を運営している。中小不動産会社でも、そのAI価格査定機能を企業ウェブサイトに容易に実装できるサービスも提供する。提供に込めた思いなどを同社CEOの浅海剛氏に聞いた。(坂元浩二)

 ――戸建て住宅も対応。

 「システムを開発した発端は、実は自分の住まいの価格を知りたかったため。仕事の都合で往復4時間通勤となり、戸建て住宅を購入したばかりで売却できるのか不安だった。当時は不動産知識がほとんどなく、購入した瞬間に、資産価値が半減するといった噂を信じていた時期でもあった」

 ――自宅の売却が発端。

 「家を売れば、家庭に問題があるからではないかと周囲に思われがちな、何かの後ろめたさの思い込みもあった。見えない壁から不動産会社に相談できず、売れるのか、貸せるのかさえも分からない。よく調べると、欧米に比べて中古不動産の流通が活発でないことが要因にあると知った」

 ――中古流通が活発でない。

 「匿名で手間なく、手軽に価格を知りたい。そして売却のタイミングを自身で決められるシステムがあれば便利なのではないかと考えた。システム開発の過程で自身の住まいが結構高額で売却できると知り、早く皆さんにも使ってもらいたいと強く感じた。価格情報という判断材料が容易に入手できれば、中古流通の市場が活性化していくと考えた」

 ――市場の活性化。

 「家と人生は、密接な関係がある。ライフプランに大きく影響している。今では当たり前のようだが、簡便に住まいの価格が分かれば、売却や賃貸など活用方法の選択肢が広がる。当社は個人向けの価格査定サービスに加え、その技術を基に企業向けに不動産データやAI価格推定技術も提供している。大手から地場の不動産会社まで集客ツールの一つとして活用されている」

 ――地場の企業も活用。

 「これまでのような大規模なシステム開発の必要がない。企業のウェブサイトに〝計算機〟を設置するイメージで、AI価格査定機能のボタンを設置し、自動応答で価格を査定する。不動産会社は、査定業務の負荷が軽減される。売却に興味を持つ見込み度の高い潜在的な顧客層の顕現化にもつなげられる。AI査定を切り口として閲覧者に追客連絡をすれば、潜在顧客との接点づくりができる」

 ――接点づくりになる。

 「自身が今の会社を1人で起業した際、社会的なインパクトのある仕事をしたいと夢に描いた。当社のAI価格査定サービスなどの不動産テックの最新技術は導入と活用で企業成長の可能性を広げる。当社も空き家の解消などの社会的な問題と向き合い、中古流通が活性化していく世界観の構築に尽力していきたい」