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人材確保など課題に DX推進状況 テック企業・団体が調査

 不動産テック企業7社・1団体は、不動産事業者237社を対象として、6月にインターネットで実施したアンケート調査『不動産業界におけるDX推進状況』の結果を7月16日にまとめた。20年6月に行った同様な調査「不動産業界のDX意識調査」と比較対照もしている。DX(デジタルトランスフォーメーション)を「推進している」のは90%に上り、20年対比で1.5倍となった。小規模事業者を中心に、「DX人材の確保ができない」などといった課題感も浮かび上がっている。

 今回の調査は、イタンジ(東京都港区)、UPDATA(東京都渋谷区)、WealthPark(東京都渋谷区)、サービシンク(東京都新宿区)、スペースリー(東京都渋谷区)、ライナフ(東京都文京区)、リーウェイズ(東京都渋谷区)の不動産テック企業7社と、不動産テック協会(東京都港区)が実施した。不動産業界でのDX化の進展状況の一端を示している。

 調査結果によると、調査対象で、「DXを推進している」のは構成比90%超となった。20年の同60%に比べて1.5倍と急増している。その導入の目的は、複数回答可で、「業務効率化」(85.2%)が最も多い。次いで、「集客力アップ」(40.1%)、「成約率アップ」(32.5%)と続く。

抱える課題感

 導入で苦労している点を複数回答可で聞くと、社内外を含め、推進役の「DX推進人材が確保できない」(45.7%)、「費用が高い、もしくは予算がない」(42.5%)と、それぞれ同程度に課題感がある。次いで、「何から取り組むべきか、また、導入ツールが分からない」(29.2%)、「社内の体制整備を含め、導入のプロセスが分からない」(24.7%)といった戸惑いの声もある。更に、「経営者の理解が得られない」(14.2%)という〝社内障壁〟もあるようだ(棒グラフ参照)。

 DX化に費やす予算は、「50万円以下」(構成比33%)が最も多い。次いで、「100万円超300万円以下」(19%)、「50万円超100万円以下」(16%)となり、全体の半数で「100万円程度」は確保しているよう。一方で、「1000万円以上」(18%)の企業も2割近くあり、本格的にDX化を推進している。各社の取り組みには〝二極化〟の姿も見えている。

 具体的な導入ツールやその満足度を聞くと、非対面の接客やテレワークが増えたことで、「ウェブ会議システム」が導入状況と満足度で共に1位となった。また、「VR(仮想現実)・オンライン内見システム」、簡易に画面上で会話ができる「チャットツール」や、「CRM(顧客関係管理)システム」のほか、「電子契約・電子申込システム」「AI(人工知能)価格査定システム」「オーナー・入居者向けアプリ」、テレビ会議機能の「IT重説システム」などの導入が増えている。

電子契約へ準備

 法改正で「電子契約」が本格化すれば、「移行したい」(83%)と考える企業は多い。その「準備を進めている」(構成比30%)という企業があるものの、「様子を見て移行したい」(33%)、「(移行したいが)システム選定に不安」(10%)、「(同)運用に不安」(10%)との声も漏れ聞こえる。