売買仲介

全国家賃保証業協会がセミナー 「明け渡し条項」は違法か 判決を弁護士が解説

 全国賃貸保証業協会(迫幸治会長)の法務委員会はこのほどセミナーを開き、同協会顧問弁護士の中島成氏(中島成綜合法律事務所)が最近の注目判決について解説した。賃貸住宅で借主が家賃を滞納した場合に、一定要件があれば物件の明け渡しがあったとみなす権限を家賃保証会社に付与する条項などについて、NPO法人の消費者支援機構関西が消費者契約法に違反するとして家賃保証会社のフォーシーズに条項使用差し止めを求めていたもの。大阪地裁では請求が認められたが、大阪高裁では破棄され、現在、消費者支援機構関西が上告受理申立中だという。

 借主と保証会社が結んだ契約には「賃料等の支払いを2カ月以上怠る」「合理的な手段を尽くしても賃借人本人と連絡が取れない」「電気や水道の利用状況から物件を相当期間利用していないと認められる」「賃借人が再び物件を使用する意思が客観的に見られない」という4要件を満たすときには明け渡しがあったものとみなし、室内の持ち物を搬出・保管できる旨の条項がある。

 大阪地裁では、4要件を満たしたからといって賃貸借終了原因である解除権を発生したとも解除の意思表示の効力が有効に発生したともいえないとした上で違法と判断した。一方、大阪高裁では4要件を満たした状況では借主が占有する意思を失っているものと解されるなどと指摘し、消費者契約法に違反しないとした。

 中島弁護士は自身の見解を述べた上で「最高裁や他の判決を注視していく必要がある」とした。