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分譲堅調、戸建て低迷 20年度の住宅受注速報金額 回復に力強さ欠く

 20年度(3月期)の大手住宅メーカーの受注動向(速報)は、5社中4社がマイナスと厳しいものだった。全体的には戸建て住宅の低迷と、分譲戸建て住宅やマンションの好調さを取り込めたか否かで結果が分かれた。上半期は、最初の緊急事態宣言による住宅展示場の休止と対面営業の自粛が響いたが、昨年夏以降は根強い住宅需要が顕在化。特に、分譲住宅で回復傾向が強かったが、戸建て住宅のマイナスを補うほど回復の力強さは見られなかった。

 21年3月に決算期を迎えるのは、大和ハウス工業、旭化成ホームズ、ミサワホーム、三井ホーム、パナソニックホームズ、積水化学工業の6社で、このうち金額ベースでない積水化学工業を除く5社を対象にした。

 個別企業の状況を見ると、マイナスでなかったパナソニックホームズは、集合(賃貸)住宅を除いてプラスだった。集合住宅は、下期は回復傾向となったが、上期の低迷を補えなかった。主力の戸建住宅はプラスだったが、多層階が苦戦したことや前年度の水準が低いことから、満足のいく水準ではないと評価している。

 大和ハウス工業は、相対的に受注金額が大きい集合住宅やマンション、ホテルなどを含む商業建築が低迷。一方、分譲住宅建築用の土地が好調で、一次取得者が多くなっているためとしている。ただ、マンションは今年3月の緊急事態宣言解除後に大きく伸びており、マンション需要の強さを裏付けた。

 旭化成ホームズは、戸建てが回復基調にあるが、力強さを欠いている。金額が大きい集合は年間を通じてマイナスが続き、二桁減の要因となっている。賃貸住宅は相続税対策としての根強い需要はあるものの、取り込みきれなかったようだ。

 ミサワホームは、賃貸住宅が二桁増となったものの、戸建住宅が今年1月の緊急事態宣言で再び落ち込み、全体レベルを下げた。三井ホームは、下期はプラスとなったが上期のマイナスをカバーできなかった。建て替えの動きが鈍く専用住宅が下押し要因となった。

3月単月は回復顕著に

 一方、3月単月の受注速報金額は、8社中5社がプラスになった。プラスだった5社のうち積水ハウスは、戸建住宅がマイナスになったが、オンラインによる見学会に加え、1棟単価の上昇や新型コロナによる在宅需要を捉えており、回復基調が続いているとした。また、賃貸住宅(RC造除く)は、介護施設など非住宅で苦戦したものの、賃貸住宅の回復でプラスになった。分譲住宅は、新型コロナで顕在化した郊外需要を捉え、4割以上の伸び。特に、東京・多摩地域で例年以上の引き合いがあった。

 また、住友林業は、戸建注文住宅で受注棟数の増加やZEHの進展に伴う単価上昇などで二桁増となった。賃貸住宅やリフォームは減少したが、戸建注文住宅の増加で全体の水準を押し上げた。