政策

全国全用途平均、6年ぶり下落 地価公示 コロナ禍で変動差に濃淡

 国土交通省は3月23日、21年地価公示を発表した。21年1月1日時点の地価公示は、全国の全用途平均は0.5%下落(前年比マイナス1.9ポイント)で6年ぶりに下落に転じた。

 全国の用途別動向を見ると、住宅地は0.4%下落(同マイナス1.2ポイント)で5年ぶりに、商業地は0.8%下落(同マイナス3.9ポイント)で7年ぶりに下落となった。工業地は0.8%上昇(同マイナス1.0ポイント)で5年連続の上昇となったが、上昇率は縮小。物流施設の適地となる工業地では上昇となっている地点が多く、沖縄県豊見城市の工業地が29.1%上昇となり、住宅地および商業地の上昇率1位(どちらも北海道の倶知安町)を上回った。

 全国の最高価格地は、東京都中央区の商業地「中央5の22」(山野楽器銀座本店)で、1m2当たり5360万円(7.1%下落)。外国人観光客関連の需要の消失、国内客の大幅減少により、飲食・物販店舗等の収益性が低下したため、地価は下落に転じた。

 国土交通省地価公示室は新型コロナウイルス感染症の影響等により、需要者が価格に慎重な態度となっていることなどを背景に、地価は全体的に弱含みと総括した上で、「地価動向の変化の程度は用途や地域で異なる。特に訪問客増加により上昇してきた地域や飲食店が集積する地域で比較的大きな下落が見られる一方、商業地の中でもオフィス需要は堅調。地方四市(札幌市、仙台市、広島市、福岡市)や県庁所在地などで上昇の地点も見られる」と指摘。〝コロナ後〟を見据えた投資や進行中の都市再開発による繁華性の向上への期待、堅調なマンション需要等から比較的高い上昇が継続していると分析した。【2面に関連記事】