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大言小語 AIに勝つ能力

 2045年には、AI(人工知能)が人間の知能を超える。これを「ノストラダムスの大予言と同じ」と断言するのは、国立情報学研究所の新井紀子教授。AIで東大入試を突破させる「東ロボくん」プロジェクトで有名だ。AIは意味を理解することができないため、東大入試は突破できないという結論だった。

 ▼例えば、泣いている少女の足元にアイスが落ちている。なぜ少女が泣いているのか、この単純なことがAIには理解ができない。写真に写る犬をぬいぐるみと判別することもある。「東ロボくん」プロジェクトでは、あたかも意味が分かっているように見せかけて、問題を解いていた。意味が分からないことの限界も分かってきたのだという。

 ▼ただ、人間も喜んでばかりもいられない。子供たちがAIと同じように意味を理解せずに文章を読み、読解力が落ちていることが確認できたからだ。新井教授はこのことに危機感を持ち、読解力を測る「リーディングスキルテスト」に力を入れることになった。読解力がないなら、人間はAIにかなわないからだ。

 ▼新型コロナを契機に、AIを含むIoTの活用が急速に住宅・不動産業界の現場に導入されている。うまく使えば現場の生産性は上がっていく。近い将来、人間にしかできない仕事だけが残っていくだろう。仕事の意味を理解する読解力が生き残りのカギになる。