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三井住友トラ基礎研調べ 不動産私募ファンド  21.1兆円に市場拡大

 三井住友トラスト基礎研究所は10月6日、不動産私募ファンドに関する実態調査の結果を踏まえ、6月末時点の不動産私募ファンドの市場規模(資産運用額ベース)を21.1兆円と推計した。これは19年12月末時点の前回調査と比べて約0.9兆円増加(約4.7%増)。市場規模には私募リートやグローバルファンド(日本以外の国も投資対象とするファンド。同社定義)を含み、前回に引き続き過去最高を更新。同社ではコロナ禍が軽微な1月~3月の資産規模拡大の寄与が大きいと推察する。
 今回の調査の対象は国内不動産私募ファンドを組成・運用している47社。調査時期は7月~8月。
新型コロナウイルス感染症拡大後の投資意欲の変化では、55%が「あった」と回答。変化の内容では「取得価格目線の低下」「投資対象の範囲縮小」「LTV(資産価値に対する借入額の割合)水準の低下」の回答が目立った。
エクイティ投資家の投資意欲では「変化はない」が65%を占めた。その一方で「低くなってきている」は33%となり、前回調査時の0%と比べると、大きな増加を示した。プロパティタイプ別の投資額では、国内と海外の投資家は「商業施設」「ホテル」で「減少」が過半を占めた。
 今後1年以内の組成予定のファンドとしては「オフィス」と「住宅」が共に32%で、いずれも前回調査比16ポイント増。「商業施設」は同4ポイント減の12%、「物流施設」は同12ポイント減の8%、「ホテル」は同16ポイント減の4%となった。また、今後注力したい物件タイプでは「ホテル」「商業施設」の割合が減少し、「住宅」「物流施設」が増加している。