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大言小語 秋を楽しむ

 猛暑から一気に秋が来た。緩やかな移ろいはなくなりつつあるが、それでも日本にはまだ四季がある。四季にはそれぞれの美しさがある。夏には春にない、秋には夏にない魅力がある。人間もそうではないか。それぞれの個性がある。

 ▼新型コロナの流行を機に、自分の生き方や働き方を見つめ直す人が増えた。〝3密回避〟のために人と人との距離が大きくなり、自分を見つめる時間が増えたからだろう。今回のコロナ流行は、皆と横並び、同じような価値観で生きていてもつまらないよ、と教えてくれているのかもしれない。

 ▼最近の不動産業やその関連業界では、若い人たちの起業が目立つ。個性的で、独自の価値観で会社を立ち上げている。例えば、「街じゅうを駅前に」をコンセプトに、自転車のように気軽に乗れる電動キックボードなどの超小型モビリティの普及を目指している会社もある。その社長は「街じゅうどこでも駅前になれば不動産の価値が大きく変わる可能性がある」と自信を見せる。この秋には公道走行の実証実験がスタートする。

 ▼秋分の日が過ぎると、日が短くなり始める。秋が物悲しいと言われるのはそのためもあるだろう。しかし秋は、実りの秋、読書の秋、芸術の秋、スポーツの秋、食欲の秋と言われるように、1年のうちで最も活動的な季節でもある。秋という個性を思い切り楽しむと、新たな発想もわいてくる。