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大言小語 気構えを立て直す

 新型コロナウイルスの流行で、住まいのあり方が見直されている。テレワーク対応などが話題となっているが、より本質的な見直しもこの際求めたい。そもそも住まいとは何か、家族の居場所としてはどうあるべきか、子育てに向いた環境とはどういうものか、などだろうか。

 ▼これまで、政府は住宅を景気刺激政策の対象として捉えてきた感が強い。これからは、そこでの暮らしをより豊かに、人間らしく生活するための空間実現へと目を向けるべきではないか。住宅供給側としても、これからは供給戸数の多さを誇るよりも、住まいにどのような想いや願いを込めようとしているのかを、表層的ではなく本気で考えなければ国民の支持を得られないだろう。

 ▼今回の新型コロナの流行は、働き方や仕事と余暇とのバランスなど生活全般、生き方そのものについても多くの人が真剣に考える契機となっている。国民一人ひとりにどう生きるべきかという覚悟を迫ってきているようにさえ感じる。政府や他者の対応を批判するよりも、各々が自分の気構えを立て直すほうが先決だと思う。

 ▼気構えを立て直すためにも、まずは今の住まいを見直そう。二地域居住や移住を検討するまでには至らない人のほうが現実には多いはずだ。今の住まいを見直すヒントは、小さな空間の創造だ。何も置かないスペースが心に余裕を持たせ、新鮮な気概を生む。