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社説 進化する物流施設 地域貢献が不可欠

 今、物流施設の新設が相次ぎ、進化も続いている。日本GLPが着工を発表した「GLP ALFALINK相模原」、東急不動産が建設した「ロジック三芳」。これは、3年前に火事で焼失したアスクルの倉庫跡に建てられたもので、再びアスクルが利用する。このほか、大和ハウスなども着工を発表。また、日本GLPでは、千葉県・流山に既存の物流施設3棟に加えて5棟を新設し、「GLP ALFALINK流山」として大規模物流施設とする。

 特に関東地方で多く新設されている要因には、外環道や圏央道の整備が進んでいることが挙げられる。前記の流山は外環道で18年6月に開通した三郷南IC~市川市・高谷ICにより、都心部を通らずに運送することが可能となり、飛躍的に時間短縮した。周辺にも多くの物流施設が建設されており、その影響から地価公示でも地価は堅調である。

 もちろん、物流の需要が多いことも増加の要因だ。中でも、eコマースの果たす役割は大きい。また、運送の高度化も挙げられる。コールドチェーン(低温物流体系)の充実により、新鮮な食品がスーパーなどに納品され、お茶の間に、あるいは医薬品や血液パックが医療機関にそれぞれ届く。それにより、また需要が多くなるというよい循環が行われているのだ。

 更に、施設自体の進化も最近の潮流だ。トラックターミナルを複数設けて、効率的な運営を行う。ロボットを利用し、大量に荷さばきを行う。施設内にはコンビニやレストランを展開し、周辺住民にも開放するなど、いわば〝一つの町〟として稼働している。BCP(事業継続計画)にも対応し、大型蓄電池を確保。災害時でも数週間の事業継続も可能にしている。

 ただ、こうした大型物流施設は道路を混雑させる存在であり、いわば周辺住民にとっては迷惑施設ともいえる。建設時にはアセスメントを行い、交通量調査などのデータを地元自治体に提出し、すり合わせを行っているが、机上の計算と現実とは異なる。

 そこで、各物流施設は、地元住民との交流を深めることで理解を得ている。例えば、日本GLPは「流山」において、市と物流施設を災害時の一時避難施設として利用するための協定を昨年締結した。免震・プレキャストコンクリート造の堅牢な建築物であることに加え、バックアップ電源や地下水供給設備など有事に備えた設備を有するとともに防災用品の備蓄も行っている。また、非常時にはランプウェイ(スロープ)を使って迅速に人が施設内へ避難することが可能だ。

 こうした取り組みやコンビニの利用、更にテナントによる地元住民の積極的人材採用などが進めば、大型物流施設が迷惑なものでなく、より地元の生活に密着したものと評価されるだろう。今更なる物流施設の進化に期待したい。