総合

大言小語 心の健康管理

 先日、「メディテーション」を体験した。直訳すると「瞑想」なのだが、ハードルは低い。インストラクションを受けながら80分のコースを受けた。あぐらをかいて目をつぶり、少しストレッチするだけで、特に何もしなかった。

 ▼メディテーションは、心の健康を保つ手段として欧米では一般的で、メディテーション施設があるオフィスや空港もある。日本でも体験できる場所があったので、どんなものか興味があった。率直な感想は、まどろみから目覚め直後のすっきりした感じだった。

 ▼メディテーションに参加した人の中には、「これは効果があるのか」と店のスタッフに聞く人もいるようだ。忙しい中、貴重な時間とお金を使ったのだから、何らかの効果を期待するのも無理はない。

 ▼「何もしない贅沢」が旅行商品の売り文句になる時代。貴重なお金と時間を使い、インストラクションまで受けているのに何もしないことの効果を聞くのは、「何もしない贅沢」を堪能できないほど、心が日常生活に忙殺されているのではと思ってしまう。

 ▼最近は、健康経営が標榜され、社員の心身の健康管理の重要性が増す。最新オフィスには運動ができる施設やプログラムが用意されているが、心の健康管理メニューは意外と少ない。「何もしない贅沢」を堪能できる程度に、心を健康に保つメニューを会社は用意してもいいのではないか。