総合

大言小語 「時間」と「空間」

 「時間」と「空間」の関係を考えてみよう。もちろん、物理や宇宙の話ではない。不動産の話だ。

 ▼まずは働き方改革の話。働く時間を柔軟にするために、働く場所を自由にする。自宅でもいいし、カフェやコワーキングスペース、シェアオフィスでもいい。オフィスも、フリーアドレスなどで一人当たりの空間を広く使うようになった。働き方改革は、不動産にとって「時間」と「空間」の新たな関係を導き出した。

 ▼次に、不動産の時間貸しの話。コインパーキングはもちろん、民泊、シェアキッチン、貸し会議室、パーティルームなどだ。住宅や会議室、キッチンという「空間」を「時間」単位で貸す。近年はスマートフォンアプリなどで、きめ細かく簡単に利用できるようになった。

 ▼最近の新しい不動産ビジネスは、「空間」より「時間」の価値を高くみていることが特徴だ。通勤時間を減らしたり、1時間当たりの生産性を上げるために、「空間」を利用する。だから、働く場所はどこでもいいし、泊まる場所も設備が最低限の住宅でいい。

 ▼不動産は「空間」の価値に重きが置かれてきた。「時間」は、月極めなど一定との前提で「時間」そのものに価値はなかった。

 ▼「空間」に「時間」を掛け合わせることで、新たな不動産ビジネスが生まれることが証明された。アイデア次第で、不動産の可能性は、無限に広がっていくかもしれない。