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社説 不動産鑑定業の今後の在り方 新分野開拓、社会課題の解決を

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 今、専門職業家は受難の時代といわれ、各分野の「士業」の収入や報酬額は全体的には伸び悩み、将来像や在り方を描き直す動きが活発化している。司法制度改革と連動するように資格試験制度改革が進められる一方で、専門資格者が関与する市場の規模は縮小傾向を示すなど、当初の青写真とは異なる現実を招いているためだ。

 不動産鑑定士と鑑定業界もその一つである。バブル崩壊以降、不動産証券化や経済のグローバル化などに対応して所管する国土交通省と日本不動産鑑定士協会連合会は、適宜制度改正などを行ってきたが、全体的な需要増加にはつながっていない。加えて人口減少社会が始まり、IT化も一層進展。不動産価格の推定を得意とするAI(人工知能)時代が目の前に迫っている。不動産鑑定士がどう対応し、将来を切り開いていくことができるかである。

 一つの方向性として昨年7月、国土交通省の不動産鑑定評価制度懇談会(座長・山野目章夫早大大学院教授)は「不動産鑑定評価制度の今後の方向性」(当面の方策に関する提言)をまとめた。柱は(1)農地や動産に関する評価の充実、コンサルティング業務の推進など多様なサービスの提供、(2)情報提供の充実やコンプライアンス体制の強化による利用しやすい制度・体制の構築、(3)試験制度や研修制度の見直しによる不動産鑑定士の人材育成の充実――である。

 これは日本不動産鑑定士協会連合会が描く将来ビジョンや要望を後押しする内容でもある。需要が増えている農地の評価、太陽光発電やヘルスケア設備など不動産に付随する動産の評価への取り組み、更に所有者不明土地問題など不動産絡みの社会課題の解決に積極的な関与を促すものでもある。その期待に応えるには実績を積み上げ、AIを超える、人間味のあるコンサル能力や調整力、説明能力に磨きをかける必要がある。

経営基盤の強化も必要

 併せて他の専門職業家や不動産関連団体との連携体制を築くことも欠かせない。また、全国の登録業者(約3300)のうち不動産鑑定士1人業者が全体の8割超を占める現実がある。これでは実績とノウハウを次世代につなげることはできない。人材を呼び込み、業界を活性化するには、小規模鑑定業者の経営基盤の強化を併せて進める必要があるだろう。

 例えば、昨年12月1日付で、九段都市鑑定と緒方不動産鑑定事務所が持ち株会社「九段緒方ホールディングス」を設立し、経営統合した。旧日本債券信用銀行系と独立系という他人同士の中堅鑑定業者が手を結んだもので、今後の中小企業の生き残り策の一例を示している。新たな需要の発掘と共に、足元の経営基盤を確かなものとし、若者たちに魅力のある環境を整えて置くことも、不動産鑑定業の将来にとって欠かせない視点である。

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