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大言小語 信託で家族共有の目標を

 ふと気がつくと、1月も既に半ば過ぎ。街中の正月の雰囲気は一掃され、すっかり日常が戻っている。そういえば最近は「1年があっという間に過ぎてしまう」という会話が多く交わされるようになったようだが、〝高齢化〟と何か関係があるのだろうか。年を取るにつれ、なんとなく毎日を過ごしてしまうからとよく言われるのだが…。

 ▼家族信託のコンサルティングを行っている専門家がこのようなことを言っていた。「(家族信託を)実際にやってみると思わぬ副産物があることに気づく。普段は離れて暮らしている家族が、信託を機に集まって介護のこと、相続のことについて話し合ううちに、自然と家族の絆が深まることだ」。

 ▼親が元気なうちに、目的を定め所有する資産の行方を決めておくのが家族信託。例えば、前もって親子で信託契約を結んでおけば、もし親が認知症になっても、実家を売却してその介護費用に充てることが可能だ。対策ができていれば、その時になって右往左往することもない。親としても、しっかり将来の目標が定まっていれば、いたずらに時が流れていくこともなくなる。

 ▼長寿化で人生は長くなった。リタイアしても、ぼんやりと日々を過ごさないための工夫が必要だ。長い道のりだからこそ、家族が共有する目標を定めることは〝人生100年時代〟を生きる知恵となる。