総合

大言小語 隣人に関心持つ力を

 国連が発表している「世界幸福度ランキング」(16年)によると日本は28位だ。1位はコロンビア、2位はフィジー(南太平洋の島国)、3位はサウジアラビアである。一人当たりGDPは日本は22位だがコロンビアは89位、フィジーは91位、サウジアラビアは38位である。

 ▼人間の幸福はお金ではないということだ。では何なのか。同ランキングを分析している専門家によれば、上位に来る国はいずれも地域のコミュニティや、家族の絆が強い国だという。人間の幸福は人と人とのつながりにあるということだろう。サラリーマンが最も幸せそうな顔をするのは、居酒屋で仲間とワイワイやっているときであることを思えば、十分にうなずける。

 ▼ただ、人と人とのつながりがすべてというのはどうか。人や社会との交流を絶たれても自分の考えや表現、言論を貫き通す人間は昔もいたし、今もいる。人は自分の幸福を犠牲にしてでも守りたいものがあるということである。それでも人には、そういう自分をやはり誰かに見ていてほしいという気持ちが心のどこかにある。

 ▼日本社会は今、3軒に1軒が単身世帯である。しかもそれが、あらゆる年代に広がっている。単身世帯が増えれば、地域のコミュニティに赤信号が灯る。自分だけでなく、隣人に関心を持つ力を育てなければ、日本という国の幸福度はどこまでも下がり続けるだろう。