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大言小語 管理組合理事長の役割

 「マンション管理組合の理事長は政治家であり、経営者」というのは、マンション管理業協会理事長の岡本潮さん。管理規約の改定や大規模修繕や建て替えなど管理組合の重要案件は総会決議が必要であり、また管理費・修繕積立金の値上げなど、お金が絡むほど案件の合意形成は難しくなる。

 ▼管理組合を構成する区分所有者は様々で、暮らしに対する考え方、年齢や家族形態、健康状態、経済的な背景が異なる。その経営は区分所有者から管理費、修繕積立金などを徴収して成り立っている。実際の管理業務は管理業者に委託して行うのが大半だが、経営と運営主体は理事会で、その代表者が理事長。理事など周囲の協力はあっても、一般に理事長には重い負担がかかる。そこで求められるのが管理組合の方向を決める政治手腕と限られた収入を基にした経営手腕である。

 ▼マンションストックが630万戸を超え、入居者と建物の〝2つの老い〟が深刻化する。大規模修繕や建て替えの必要性は高まるが、入居者の高齢化は経済的負担力を失わせている。既に管理費・修繕積立金の値上げが困難となり、一時金拠出を伴う大規模修繕・建て替えは不可能で身動きが取れないところも出始めている。

 ▼先行きは明るくないが、まだその多くは住居としての機能を失ったわけではない。いよいよ老朽化マンション立て直しへ、プロの政治力と経営手腕を発揮する場面である。