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大言小語 町会の防災訓練

 災害は忘れた頃にやってくる―。10万人以上の死者・行方不明者を出した関東大震災(1923年9月1日)。その災禍の記憶、教訓を忘れないために9月は防災月間である。「訓練は最大の備え」。今後予想される首都直下地震や南海トラフ地震などに備えるため、関東地方では都道府県や市区町村、町会単位で年に一度の防災訓練が行われる。

 ▼9月10日、都内の小学校で行われた町会の防災訓練に参加した。午前9時、震度7の地震が発生、倒壊家屋多数・火災発生という想定。メニューは避難と初期消火、救助、炊き出しなどのほか、煙ハウス体験、消防団によるポンプ車の放水訓練など。町会内各区の住民が校庭に次々と避難してきて整列。消防署や消防団関係者らを含めると参加者は全体で250人ほどか。老若男女、車いすの人もいた。

 ▼ただ、参加者は想定より少なかったようで、予定時間より早くに終わったが、真面目で積極的に訓練に臨む人が目立った。最後に、非常用飲料水、乾パン、炊き出しの山菜おこわ弁当に、非常トイレのサンプルのセットが避難物資支給訓練として全員に配布された。

 ▼町会では「内容は毎年同じだが、これが減災への第一歩。災害を強く意識すること、たゆまぬ訓練、備えが住民の減災につながる」と呼び掛ける。訓練を積んだ人は「地域の貴重な財産」だ。もっと参加者が増やせるよう、知恵を絞りたい。