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大言小語 名は体を表す

 統合に次ぐ統合で3行の名前が連なった大手都銀の長い行名から、漢字二文字が消えるという。業界再編が続く金融業界で、創業時の名前を残している銀行も相当減ったことだろう。同時に、固いイメージのあった銀行も、今では漢字以外の文字が行名に使われることも珍しくなくなった。

 ▼カタカナ、ひらがなの社名が一般化して久しい。外資はもとよりIT系の会社に至っては、漢字の社名を探すほうがむしろ難しいかもしれない。16年に全国で新設された法人数は約13万社弱を数えたが、このうち最も多かった商号もカタカナの「アシスト」だった。これに「ライズ」「さくら」「サンライズ」などが続いた。上位10位までの商号には、カタカナが7つ、ひらがな2つが並んでいる。一文字とシンプルな「和」が唯一、漢字の社名として10位に食い込んだ。

 ▼人の命名の場合は、画数にこだわったり、性別が分かりやすい、聞き取りやすいことなどが大切とされる。子供の健やかな成長を願う親心が込められているのは当然だ。

 ▼社名も事業の発展を願うのはもちろん、何の事業を行っているのか、どんな理念を持っているのかを外の人々に分かりやすく伝えるのも役割だ。カタカナ、ひらがなの社名が増えているのは、漢字では伝え切れない思いがあるからに他ならない。新設法人には、早く〝体が名を表す〟ように期待したい。