総合

大言小語 分かりにくい争点

 〝熱い戦い統一地方選〟と言いたいところだが、市長選の無投票や軒並み低い投票率が問題になっている。投票率の低さはこれまでの選挙でもたびたび指摘されてきたことであり、有権者の政治に対する不信や将来不安からくるあきらめなどと、いろいろな理由が取りざたされている。その中でも、政党、政治家の主義主張の分かりにくさが選挙離れを助長していることも明らかだろう。

 ▼その表れのひとつに挙げられるのが、与野党入り交った相乗り候補だ。全てではないにしても、有力候補には与野党推薦が目立つ。どちらも傷を負わない無難な戦いとも映るこの逃避行動は、民主主義国家の選挙としてゆゆしき事態だ。マスコミからは、選挙の争点の見える化をと促す声も出始めている。

 ▼優勢が伝えられている与党にあっては、当選を返上してでもあえて真の民意を問い直そうという思いに至らないのは仕方がないまでも、勝利宣言などはおこがましい限りと言わざるを得ない。

 ▼過日、都内の街中で耳にした選挙カーから聞こえてきた候補者の声のトーンは、まるでお経を唱えるような響きだった。熱意が伝わってこないどころか、こちらが候補者のイメージダウンを心配したほどだ。誰にでも分かりやすい志のある言葉で、己の主義主張を伝えられないようでは、立候補する資格がないのも同然だ。