政策

大言小語 憲法を読んでみた

 今年の大型連休は休みの並びがよくないため、遠出をせず、読書などで過ごした人も多かったのではないか。小子もそうで、静かなブームとなっている本を読んでみた。「読むための日本国憲法」(東京新聞政治部編、文春文庫)だ。

 ▼編者と版元の組み合わせが面白い。東京新聞と言えば、脱原発、反TPPなどを明確に打ち出しているリベラルな新聞社。片や文芸春秋社と言えばタカ派に近いと言ってもいい出版社。左右離れた言論がタッグを組むのも、憲法の重要性を表している。

 ▼現在、政府は集団的自衛権を憲法改正でなく、解釈変更で認めようとしている。改正論者である小林節慶大名誉教授でさえ、憲法の精神、主旨を変えるのなら改正手続きによってすべきと反対している。政権が恣意的になることがないよう縛りを掛けるのが憲法であるという立憲主義は、先進国のほぼすべてが尊重しているものであり、法律によって思うことがやれないから、解釈で変えるのは本末転倒だ。

 ▼今、憲法を守るという講演会が自治体から拒否されるという事態が出ている。本来、99条で憲法尊重擁護義務がある公務員の対応としていかがか。実は小子も改正論者なのだが、護憲派、改正派双方が何の妨害もなく憲法を論じ合う舞台がないと、ただの骨抜きの法律に化すのではないか。冒頭紹介した本は、憲法のあり方を考える、その一助になると思う。