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大言小語 大雪の朝の風景

 首都圏を襲った2月の2週連続の大雪。都市機能は麻痺し、2度目は関東一円の山間部で孤立集落が数多く発生、高速道、一般道には多くの車が取り残された。道路開通や復旧まで3、4日かかり、孤立集落の解消には1週間以上もかかった。

 ▼降ってもせいぜい10センチ程度しか積もらない関東地方や山梨県にとって、50センチから1メートル以上もの積雪は、まさに命がけの事態になることが図らずも露呈した。ホームセンターではスコップやゴム長、靴の滑り止めなどが完売した。家庭・地域レベルでは、雪への備えが徐々に浸透してきたようでもある。

 ▼自宅前の道路を除雪するのは不文律のルールである。大雪の朝はその姿勢が浮き彫りになるが、地元には長年の実績による〝定評〟がある。「Aビルはいつも最初に片づいて気持ちがいい」という評判が立つ一方で、「Bビルの前は滑るので気を付けなければ」というものも。その日、ゴム長を履いて難渋しながら雪道を歩いていると、突然、アスファルトの道が広がった。和菓子店前である。さすが人気の老舗。たどり着いた目的地は手つかずだった。

 ▼マンションでは、管理会社が休日体制だったため、半ば放置状態のところもあったが、むしろ管理組合や入居者が率先して除雪に当たったところが目立った。大震災で注目された地域や人との絆だが、今回の大雪がその記憶を再び呼び起こしてくれたようだ。これも大自然の贈り物である。