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大言小語 価格表と意外なお得

 マンションは何階が住みやすいのか、とはよく話題になるテーマだ。高層マンションの場合、新築時の価格設定は大方、上層階ほど高く、1階、2階が低い。上階の方が眺望や日照・通風に優れ、人気が高いためだが、超高層となるとそれに一種の社会的ステータスも加わり、高級仕様に設定したものが多い。結果、1つの建物内に億ションと高級物件、一般向け物件が混在するマンションが生まれる。

 ▼高所得層から中間層まで多様な所得、年齢層の人たちが同じ建物で暮らし、管理組合を運営する。それは非常に社会的な取り組みであり、地域活性化の面でも大いに意義があるだろう。マンションは人を呼び、地域をも変えてしまうから侮れない。東京では江東区に続き、中央区や千代田区の人口増加が目立つ。東京駅や銀座地区でママチャリなどの違法駐輪が問題になるほどだ。

 ▼横須賀不動産鑑定事務所のレポートによると、住んでみて評価が高いのは1階だという。これまでは防犯やプライバシーの心配があるといわれたが、今は反対に人通りが多いので安心だとか、高齢者の場合、出入りが楽で人とのつながりが得やすいという意見がその理由である。地震の揺れが上より小さく避難しやすいこともある。何階が住みやすいかは年齢や家族構成と志向や嗜好によって異なるということだ。新築物件の価格表の中には、意外な「お得」が隠れているかもしれない。